鍵の歴史(日本)

先日、何となく家の鍵を見つめていて、
日本における鍵の歴史を知りたくなりました。
 
「日本って、昔は鍵が存在していたのかな?」
 
昔の日本の戸締まりというと、
私は「心張り棒」をイメージします。
引き戸が開かないように、家の中から押さえておく「つっかい棒」のことです。
 
でも「心張り棒」は、外出したときには使えませんよね。
家を空ける際には、何か他に戸締まりの手段はあったのでしょうか?
 
さっそく、鍵のウィキペディアを見てみました。

庶民にとって鍵はほとんど必要のないものだった。
当時の治安は大変よかったうえに、
用心する際はほとんど心張り棒で戸締りをしていたからである。
鍵をかけるのは当時の金持ちが蔵にかけるぐらいであったが、
その鍵は手で簡単に開けられるようなものなど、防犯の意味をあまり成さず、
ほとんど飾りだけのようなものが多かった。

なるほど。
江戸時代の庶民の家は、家主が外出したときは入り放題だったんですね・・
 
ウィキペディアには、「当時の治安は大変よかった」と書かれていますが、
盗人が全くいない社会というのはあり得ないと思います。
きっと貴重品は、必ず持って外出していたのでしょうね。
 
当時の庶民は、
余計なものを持たないコンパクトな生活をしていたのだろうと想像します。
 
しかし金持ちでも、
手で簡単に開けられるような防犯の意味を成さない鍵を使っていたということは、
当時の鍵の技術はあまり進んでいなかったということなんでしょうね。
当時のセキュリティーは、門番のような人力が主流だったのかもしれません。
 
さて、日本で最古の鍵とされるのは、
1998年に野々上遺跡(大阪府羽曳野市)から出土した
7世紀中頃と推定される海老錠だそうです。
海老錠は、「えびじょう」と読みます。
こんな形です。

 
解錠すると、こんな風になります。

 
原理は、こんな感じだそうです。

なかなか、よくできていますね。
 
しかし、仕組を知っていれば簡単に鍵破りができそうです。
まあ当時は、まずこの鍵の仕組の情報も普及していなかったでしょうし、
仕組を知ったところで、
海老錠のピッキングツール的な道具を作る技術を持つ人は限られていたと思います。
 
少なくとも、ふらっとやってきた通行人には開けることはできないでしょう。
 
そう言えば数十年前の昔は、
家の玄関の鍵を開けっ放しにしていたなんて話をよく聞きます。
日本には、家に鍵をかける風習というのは、もともとなかったんでしょうね。
 
そう考えると、今の私達の生活は、
余分なものを持ちすぎているのかもしれません。
余分なものを持てば持つほど、多くの鍵が必要だし、心配の種も増える訳です。
 
現代人は、家の鍵や暗証番号に指紋認証、多くの鍵に囲まれて暮らしています。
これは、守るべきものが増えたということなのか?
それとも、身の回りに余分なものが増えたというべきなのか?
 
最近は更に、「個人情報」という他から守らなければいけないものが追加されました。
そのために私達は、パスワードという鍵を用意し、
日々その管理に気を遣っている訳です。
 
う〜ん、気づくと私達の周りは鍵だらけ。
この調子だと、今後も私達が管理しないといけない鍵は増え続けるのでしょうね・・・。
 
鍵の管理に押しつぶされる前に、
本当に守るべきものと、そうでないものを、整理する必要があるかもしれません。