「デファクトスタンダード」を狙え

今日は、経営学のお話をします。
 
デファクトスタンダード」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
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「事実上の標準」を指す用語です。
公式に決められた訳ではないが、
多くの人が利用しているため、
事実上の標準となっているものを指します。
 
一番有名な事例は、家庭用ビデオの規格争いだと思います。
ソニーのベータマックスに対するは、松下電器のVHS。
ご存知の通り、この勝負は松下電器のVHSの勝ちとなりました。
勝負が決するまでは、消費者もどちらを買うか慎重になります。
将来負ける規格の製品を購入してしまうと、
更にもう一方の規格の製品も購入するはめになるからです。
我が家でも、最初ベータマックスのビデオデッキを購入したのですが、
その後VHSのビデオデッキをもう1台購入する結果となりました。
 
消費者も勝ち馬に乗らないと損をしてしまいますが、
メーカーはもっと大変です。
何しろ、莫大な研究開発投資や設備投資を既に行ってしまっているのですから。
規格争いに負けたら目も当てられません。
先行投資した莫大な資金が無駄になってしまうのです。
逆に、勝てば非常においしい。
独占に近い状態となり大きな利益を獲得することができます。
 
しかし、消費者にとっては不幸な状況かもしれません。
独占に近い状態となるので競争は鈍化し、価格の高止まりが起こることもあります。
また、「デファクトスタンダード」が決まる仕組はいわゆる人気投票みたいなものなので、
品質や性能はさておき、販売活動の優れた製品が選ばれることもよくあります。
 
例えば、VHSとベータマックス
性能面ではベータマックスの方が優れていたという話もあります。
 
ところで、皆さんが今見ているパソコンのキーボードの配列も
デファクトスタンダード」です。
左上が「Q」で始まり、そこから右に「WERTY]と続く配列を
「QWERTY配列」と言います。
この配列は1882年に登場しました。
当時は、タイプライターの規格争いがあり、
ライバルの「カリグラフ配列」とこの「QWERTY配列」が争い、
結果として「QWERTY配列」が「デファクトスタンダード」となったのです。
 
この「QWERTY配列」は、今でもPCのキーボードとして使われている訳ですが、
実は、なるべく遅くタイピングされるような配列として考え出されたものです。
と言うのも、当時のタイプライターの技術的な限界から
タイピングの速度を落としてアームの衝突を防ぐ必要があったからです。
当然、今のPCではタイプの速度をあえて遅くする必要なんてありません。
しかし、既に多くの人が「QWERTY配列」に慣れてしまった結果、
今更、もっと合理的な配列に変えることもできなくなってしまった訳なのです。
 
つい先日、ブルーレイとHD-DVDの規格争いもありましたが、
これからも私たちは消費者として、
規格争いに巻き込まれて選択を迫られる機会がいくつもあると思います。
その時には、なるべく合理的に判断をしたいものですね。
選択を誤ると、結局私たち消費者が後々苦労することになりますから。