「出世払い」の恐怖

皆さんは「出世払いでいいよ」と言われて、
上司や先輩に飲食代をおごってもらったことがありますか?
多分、一回や二回そういう経験がある人も多いかと思います。
 
では、「出世払い」でおごってもらった飲食代を、
「出世したからこの前の飲食代返します」って言って返済した人は
どのくらいいるでしょうか?
おそらく、そんな律儀な方は一人もいらっしゃらないと思います(笑)
 
まあ一般常識では、「出世払い」はおごりと変わりません。
しかし、世の中にはいろいろな人がいるものです。
「出世したんだから、出世払いで立て替えていたお金を返せ」という裁判を起こした人がいます。
この「出世払い」、民法的にはどういう解釈になったんでしょうか。
この時の判例はこうです。
「出世払い」とは、「出世するまで支払を猶予したに過ぎない」。
例えば、「出世払いでいいよ」とその場では二人分のお金を払ってくれた人がAさん、
ただで飲み食いができた人がBさんとしますと、
Bさんが出世したら、Aさんに対する返済義務が生じることになる訳です。
 
そして、出世するまで支払を猶予してもらっているだけなので、
Bさんが出世しないことが確定してしまった場合には、
その後Bさんがその事実(自分は出世できない)を知った時、
やはりAさんに対する返済義務が生じます。
 
私もその昔「出世払い」で先輩や上司にたくさんおごってもらいました。
これらの飲食代は、今は支払を猶予されていますが、
法律的にはいつか返済しなければならない負債だったんですね。
 
・・・まずい。
誰にいくらおごってもらったかなんて覚えていません(笑)