桜のワザ

桜の花の季節は、もう終わりました。
皆さんは今シーズン、十分に桜の花を堪能できたでしょうか?
 
あれだけの存在感を誇っていた桜の木も、
しかし今は葉桜になっています。
見た目、すっかり普通の木です。
 
私の職場までの通勤路には桜並木がありまして、
花も葉も生えていない冬の時期から、
花が咲き、花が散り、そして葉が茂るまで、
桜を継続的に観察することができました。
 
あの花の美しさ。
これは、本当にもう芸術の域だと思います。
日本の園芸という文化の一つの完成型ですね。
 
そして今回私は、もう一つ感嘆したことがあります。
 
それは、手品とも言うべき桜の不思議なワザです。
 
ある日、枝の固く結んだツボミが、あれよあれよという間に大輪の花になります。
それは、手品師が何もないところから鳩を出すのと同じくらいに不思議な光景。
 
そして花が散り、今度は新緑の葉っぱが何もないところから飛び出す訳です。
本当に素晴らしいイリュージョンだと思います。
 
あの花や葉っぱは、一体どこに仕込んでいたのでしょうか?
 
空気中の二酸化炭素と水と土壌のリンとかを組み合わせて作っていると頭ではわかりますが、
実際にそのワザを目の当たりにすると、
摩訶不思議な手品のようにしか見えません。
 
「生命ってスゴイ!」
心が本当にワクワクするのです。
 
こういう「生命」のワザに気づくと、
繰り返しのように感じる日常にも変化を感じることができます。
それが、日本人が古来から感じてきた「四季」というヤツですね。
 
最近の「四季」は、イベントで感じることも多いかもしれませんね。
ハロウィーン、クリスマス、年末年始、節分。
 
これはある意味、人間達が創りだしている「四季」です。
桜が春に花を咲かせるように、
人間達は、12月になると素敵な飾り付けと音楽を流します。
 
人間達が織りなす「四季」も、桜の花に負けず劣らず、
不思議で素敵なイリュージョンですよね。
 
街の野良猫たちは、こんな風に思っているかもしせません。
「毎年この時期になると、町の風景が変わってなんだか楽しい音楽が流れてくるよね。
 人間達のやることって手品みたい。スゴイね。」