多次元解釈

「多次元解釈」。
SFチックな言葉ですが、立派な物理学の学説の一つです。
 
ただ内容はSFそのもの。
パラレル・ワールドという言葉を聞いたことがないでしょうか?
世界はある可能性から分岐して多くの世界に無限に枝分かれしていくという考え方です。
 
例えばこの理論では、
私が今夜このブログを書いている世界と書いていない世界が
平行して存在すると考えます。
たまたま、私はこのブログを書いている世界に存在していますが、
一方で、このブログを書かずに寝てしまっている世界も平行して存在しているのです。
このように、世界が可能性の数だけ分岐していくという考え方が「多次元解釈」。
 
とんでもな理論に見えるかもしれませんが、
量子力学という最先端の物理学の中で真面目に議論されている仮説なのです。
 
何故、そのような話になるのか。
それは、この世界のミクロの振る舞いが確率でしか表せないからです。
私たちが物理の授業で習ったニュートン物理学では、
例えば真上に投げたボールの位置は、
「何秒後にはここにある」と計算式ではじき出すことが可能です。
しかしミクロの世界では、話は全く異なります。
例えば、原子の周りを回る電子が、ある時点でどこに存在するのか。
これは誰も計算で求めることはできません。
できるのは、「ここにある確率は70%である」と確率で語ることのみです。
 
じゃあ、実際に観測したらいいじゃないか?と考える方もいらっしゃると思います。
はい、実際に観測したら場所は特定されます。
しかしこれは、雲のような確率の集合であった電子が、
観測されることによって初めて特定の場所に収縮した結果なのです。
すなわち、何らかの意思が介在することによって初めて世界は決定されるということ。
 
※これはオカルトの話ではなくて、ちゃんとした最先端の物理学の話ですよ(笑)
 (ウィキペディア電子雲」)
 実際に今あなたが見ているPCや携帯の部品である半導体は、
 量子力学の理論で動いています。
 
このような奇妙なミクロの世界の振る舞いに、どのような解釈を加えるのか。
物理学者たちは大いに悩みました。
 
マクロ世界の物理学である一般相対性理論を生み出したアインシュタインは、
神はサイコロを振らない」と、この量子力学の考え方を嫌いました。
しかし、どうやら量子力学の振る舞いは確率でしか表せないというのが、
現在の物理学者たちの見解です。
 
この奇妙な現象を説明するための仮説の一つに、「多次元解釈」があるのです。
すなわち、冒頭に述べたように世界は確率(可能性)の数だけ無限に分岐する。
そして、それぞれ一旦分岐した世界同士は、お互いに干渉しあうことはできない。
 
どうでしょうか?話として面白くありませんか?
歴代の科学者が科学を突きつめていったら、
どうやら世界の根源は、既存の科学観では説明できない領域に突入しそうなのです。
すなわち、世界を全て計算で説明することは不可能であるということ。
そして、何故か「意思」という目に見えない非物理的なものが
世界に影響を与えている可能性があるということ。
 
何故、今日「多次元解釈」の話を載せたかというと、
震災の影響で灯りの少ない暗い街の通りを歩いている時に、
「もしかしたら、震災がもっと小規模なもので、被災者の方もゼロで、
 こんな暗い道ではなく、いつものように明るい道を歩いている世界が、
 同時並行で存在している可能性もあるな」とふと思ったことが理由です。
私は、様々な可能性の中からこの非日常の世界に
落ちてしまったのかもなぁと思いながら、暗い道を歩きました。
まあ、どんな世界に分岐しようとも
今目の前にある時間を生ききるしかないんですけどね。
 
ちなみに、ここまで話を引っ張ってしまってから言うのも何なのですが、
私は、量子力学に関しては、この「多次元解釈」ではなく
他の仮説の方が信憑性が高いなと思っています。
それは、ペンローズとハメロフという二人の科学者によって
提唱されている「量子脳理論」。
脳科学者の茂木健一郎さんが
ペンローズの量子脳理論」(ちくま学芸文庫)という解説本を出版しています。
機会があれば、いずれ「量子脳理論」についてもブログで紹介したいと思います。