オススメの漫画「進撃の巨人」

進撃の巨人」という漫画を読んだことがありますか?
現在6巻まで出ており、発行部数は560万部を突破しているミリオンセラーです。
また、数々の賞を獲得しています。
 「このマンガがすごい!」2011年版、オトコ編で第1位。
 「全国書店員が選んだおすすめコミック2011」、1位。
ウィキペディアこちら
 
また、2013年に実写映画化が決定しています。
監督は、「嫌われ松子の一生」や「告白」という人間をテーマとした作品を手がけている
中島哲也監督です。
 
私も、この漫画の愛好者です。
話題の漫画ということで、第1巻を購入し読んでみたところ、
私の心の琴線に深く触れました。
 
どこに反応をしたかと言うと、この漫画の容赦ない圧倒的な世界観です。
その世界観は「弱肉強食」。
この世界では、人間の上に巨人という捕食者がいます。
漫画の中の人類の文明レベルは中世程度であり、
人の力は巨人に、ほとんど歯が立たない状態です。
そこで、人類は巨大な城壁で都市を囲い、その中でのみ生活をするようになります。
この人類の捕食者である巨人の描写が、またすごいのです。
読んでいるこちら側にまで、深層心理レベルの恐怖や拒絶感を与えます。
 
ところで、読者である私たち人間も生物です。
恵まれた生活で忘れがちですが、
生物である以上「弱肉強食」という鉄のルールからは逃れられない。
この作品は、自分達も「弱肉強食」の真っ直中にいる生物であることを思い出させてくれます。
 
しかし人類は、全生物の中で「弱肉強食」に最も対抗している生物でもあります。
一つは「科学」によって。そして、もう一つは「愛」と「勇気」によって。
 
この作品の主人公は、巨人に町を襲われ、母親を巨人に殺されてしまいます。
そして、残された仲間と一緒に、
この世界最大の脅威である巨人に対処する技術と知恵を学ぶ学校に入学するのです。
この世界では、この学校で優秀な成績をおさめることが、
自身の将来を安泰にさせる道となります。
日本で言うところの学歴社会のようなものです。
最も優秀な成績をおさめたグループは、
最も安全な城壁の中心部に住む王族を守る「憲兵団」という組織に入れます。
多くの学校入学者は、この「憲兵団」という組織に入るため、自身の技術を磨きます。
日本で言うところの、高級官僚や大企業のエリートコースといったところでしょうか。
 
憲兵団」の他の進路は2つです。
一つは、「駐屯兵団」。城壁に近い町の守備隊です。
そして、もう一つは「調査兵団」。
城壁の外に出て、人類のために巨人への対抗策を検討する部隊です。
しかしこの「調査兵団」は非常にリスクが高く、
ほとんどの兵士は巨人に襲われ死亡してしまいます。
 
当然、多くの生徒は第一志望「憲兵団」、第二志望「駐屯兵団」です。
しかし、一部には「調査兵団」入りを希望する人達もいる訳です。
 
この漫画の主人公達は、「調査兵団」に入隊します。
エリートコースの「憲兵団」に入れる成績を残しているにもかかわらずです。
 
ところで、以前のブログで、
高い学業をおさめた日本人の学生は、
高級官僚や大会社を目指して安定した生活を志向するのに対し、
高い学業をおさめたアメリカ人の文系の学生は、
ティーチ・フォー・アメリカ」という
国家全体の活動に貢献するNPO法人に入ろうとするというお話しをしました。
また、アメリカでは、最も成績が優秀な学生は起業を目指すそうです。
アメリカの学生さんは、日本の学生さんより「勇気」があるなぁと思います。
 
そう考えていった時に、
この漫画は日本社会へのアンチテーゼとなっていると、私は思うのです。
確かに、起業なんかしたら、人生が台無しになるリスクもある。
生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされるかもしれない。
それでも、人生を賭しても、進撃することの「美しさ」。
 
「弱肉強食」に飼い慣らされることなく、全てを投げ打って反抗する「生命」の足掻き。
そこに、この漫画の最大のテーマ。「命の美しさ」があると思います。
 
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