「パコと魔法の絵本」と「嫌われ松子の一生」
昨日のブログで、映画監督の中島哲也監督のお話しをしましたので、
今日は彼の作品について、描いていきたいと思います。
(ウィキペディアはこちら)
彼は「下妻物語」や「告白」など、数多くの有名な作品を手がけていますが、
私の特に好きな作品は、「パコと魔法の絵本」と「嫌われ松子の一生」です。
「パコと魔法の絵本」のテーマは、
人にとって一番大切なモノは何か?だと、私は思っています。
童話仕立ての楽しい内容と、主役アヤカ・ウィルソンのピュアな演技もポイントです。
役所広司さんや他の個性的な出演者の方々の演技も光っています。
楽しく笑って、最後には感動して泣ける作品です。
あなたは、お金よりも大切な、人生で一番価値のあるモノは何だと思いますか?
この作品では、その答えがわかるはずです。
私もこの作品の答えに、心から賛同します。
さて、続いては「嫌われ松子の一生」。
これは、好みが別れる作品だと思います。
私は好きです。
内容としては、ひたすら主役の中谷美紀が、不幸のどん底に落ちていきます。
本人に責任はなく、小さな小さな歯車が狂って、不運が松子を襲うのです。
そして、彼女は嫌われ者になっていきます。家族からも。
本当にこれでもか、というくらい彼女は不運に襲われ、人生のどん底に落ちていくのです。
逃れられない運命の歯車に巻き込まれ、彼女は人を殺し刑務所に入ってしまいます。
最後にハッピーエンドになる訳でもなく、彼女は安アパートで孤独死します。
本当に重い作品ですが、そんな容赦ない不幸の中でも、
彼女の生きた人生の輝きを、この映画に感じることができるかどうかが、
この映画を好きになるか嫌いになるかの分かれ目でしょうね。
もし、運不運というものがあるとしたら、
最も運の悪い人は、彼女のような人生を歩くのかもしれない。
そんなリアリティのある作品です。
映画のタイトルにあるとおり、
人間「嫌われる」ということが一番精神にこたえると感じました。
「いじめ」でハブにされたり、皆に悪口を言われたり、
そういった辛さが少しでもわかる人は、この映画のテーマを理解できるでしょう。
世界の理不尽な仕打ちに翻弄されボロボロになりながらも生きる「命」の美しさ。
「いじめ」は、いじめられる方が悪いと考えられている方は、
「ああこんな人生は送りたくないな」という感想で終わってしまうかもしれませんね。
何回か描いているお話で恐縮ですが、私は以下の話を思い出しました。
ある日、マザー・テレサが道ばたにウジにまみれて倒れている女性に出会ったそうです。
道行く人々は、彼女を避けて通っていきます。
彼女は、誰の目から見ても命がもうすぐつきることがわかるような状況でした。
マザー・テレサは、彼女を自分の施設に連れて行き看病します。
しかし、もう手遅れの状態だったのか、
彼女の命の灯火は徐々に小さくなっていってしまったのです。
彼女は、亡くなる前にマザー・テレサに笑顔で感謝の意を伝えたそうです。
後にマザー・テレサは、あんなに美しい笑顔には出会ったことがないと話されています。
人や生命は、懸命に生きているだけで美しいのです。
それをわからない人が、世の中にはたくさんいますが。