誰がために

自殺者年間3万人の国。
「日本」。
 
日本人は、昔に比べて「生きる力」が弱まっているのかもしれません。
「生きる力」とは、「欲」だと思います。
日本人は、ある程度豊かな生活を手に入れて、
強い「欲」を持てなくなってしまったのではないでしょうか。
「頑張れば、更にステップアップできるかもしれないけど、そこまではいいや・・・」
日本人は、頑張って手に入れられるものが、ある程度見えてしまった訳です。
一方、現状のままでは立ちゆかない発展途上国の人々の方が、
「手に入れてやろう」という「欲」は、きっと強いと思います。
彼らにとって手に入れてやろうと思う「未来」は、ギラギラと輝いているのです。
 
ところで、私は「欲」も「才能」だと思っています。
強い「欲」は、他者も自分も傷つけてしまうリスクがありますが、
反面、力強く生きる原動力にもなります。
「自分」のために頑張るということが、「欲」のある人にはできるのです。
 
一方、「欲」のない人は「自分」のために頑張ることができない。
どんなに素敵なヴィジョンや夢を想い描いても、本気で目指すことができないのです。
私もそうです。
「日々を無事に過ごせればいいや」「他者に迷惑をかけないようにして」
生きるモチベーションが消極的なので、
日々無事に過ごせなかったり、他者に迷惑をかけないと生きていけない状況になったら、
「生きていたくないな」って気持ちになってしまいます。
 
では「欲」のない人が、「生きる力」を得るにはどうすればよいのでしょうか?
答えは、「他者」のために頑張る。
「欲」のない人は、どうあがいても「自分」のためには頑張れない。
だから「家族」や「苦しんでいる人」のために頑張ることで、「生きる力」を得るのです。
 
「欲」がないということは、決して「幸せ」なことではありません。
むしろ、「欲」がないと、この世界では弱っていってしまうのです。
「自分」のために生きられない「欲」のない人は、
「他者」のために生きようと誓って、ようやく「生きる力」を得ることができます。
それも、「欲」に勝るとも劣らないくらい強く誓わないといけない。
 
「欲」がなくて、護るべき「配偶者」や「子ども」を持つ人は、
是非その護るべき相手に強く誓って下さい。
そうしないと、「幸せ」にはなれないと思います。
 
では、特定の護るべき相手を持てない人は、どうしたらよいのでしょうか?
その答えを考える前に、日本の「未婚率」の推移を見たいと思います。
 
この時代、私も含めて「結婚」できない人が、世の中にあふれる社会になりました。
「未婚率」は、過去90年間の中で最高です。

(出所)社会実情データ図録

 
このグラフの急上昇具合を見て、「日本はどうしちゃったの?」と驚く人も多いと思います。
これが、今の日本社会の特殊な状況なのです。
私は、日本社会の「生きる力」が弱まっていることの現れだと思います。
そしておそらく、結婚していない人の多くは「欲」のない人です。
護るもののない未婚の人がこんなに増えているのであれば、
「今後も自殺率は高く推移するのでは?」という予測も成り立ちます。
 
今、ポスト「欲」が必要です。
繰り返しになりますが、「欲」がなければ「生きる力」を得ることはできません。
しかし、「欲」を持っていない人が、
努力を惜しまないほどの強い「欲」を持つことはできないのです。
持つことができないからこそ、この空前の未婚率なのだと思います。
 
「欲」がなくて「自己実現」できない未婚の人達。
もしかしたら、今の日本社会においては、
ライフ・マトリクスの「3」の領域にいる人が結構多いかもしれませんね。

 
そうであれば、ポスト「欲」となる「生きる力」の源泉を真剣に探しましょう。
「欲」がなく「自分のため」に生きられないとしたら、
護るべき「他者」を見つけるべきです。
例え配偶者や子どもがいなくても、
「世界」を見回せば、自分にしか護れない相手は無数にいると思います。
わかっていると思いますが、「新興宗教」のような強者を護っても仕方ない。
少しでも関心を持って周りを見渡せば、自分にしか護れない相手は必ず存在します。
それはアフリカや東南アジアのような国外かもしれないし、
国内にだって「助け」や「救い」を求めている人はたくさんいるはずです。
 
「自分のため」に生きられないのであれば、「誰かのため」に生きましょう。
この理不尽な世界、「助け」や「救い」を求める人は無数に存在し、
関心さえ向ければ、自分にしか助けられない存在とも必ず出会うはずです。
 
「誰がために」生きるのか?
自分のため?家族のため?弱者のため?世界のため?
 
「誰のためでもない」という人が生きていくには辛すぎるのが、この「世界」。
 
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