「ムスカ大佐」へ 「銭形警部」より

皆さんは、
伊達直人」を名乗る人物から
孤児院に贈り物が届けられるという素敵な出来事を覚えていますか?
だいたい今から2年前の出来事です。
 
当時は、「タイガーマスク現象」などと呼ばれ、
初代の活躍を機に、様々な賛同者が孤児院への匿名の寄付を行いました。
伊達直人」だけでなく、「矢吹丈」から「肝っ玉母さん」まで、
各参加者それぞれの年代を反映した想い想いのキャラクターが登場し、
当時の私はとても楽しく暖かな想いをさせてもらったものです。
日本中が暖かな優しい気持ちに包まれ、
私も是非「タイガーマスク現象」に参加したいと、当時は本気で考えていました。
日本中に「善意」が広がることが、とても嬉しかったからです。
 
さて、「タイガーマスク現象」に参加された素敵な方々の中で、
とても楽しい気持ちにして頂いたキャラクターがいらっしゃしました。
ジブリ映画の「天空の城ラピュタ」に登場する「ムスカ大佐」です。
ムスカ大佐」は悪役ながら独特な存在感を持った人気のキャラクターであり、
ランドセルと共にあった置き手紙には彼の独特の口調を真似たメッセージが書かれていました。
そんなおちゃめな遊び心に好意を持っていたので、
私の記憶には彼の存在が結構残っていたのです。
 
時は流れ、今年の11月4日に「ムスカ大佐」は、また現れました。
徳島市児童養護施設に彼が現れたのが、夕方の6時半頃。
呼び鈴が鳴って職員が玄関に向かったところ、
30歳前後の男性がランドセル8個とDVD1枚を置いて走り去ったそうです。
贈り物には、「ムスカ大佐」を名乗る手紙が添えられ、
「ちょっと早いクリスマスプレゼントだと思ってとっておきたまえ」と書いてあったとのこと。
この児童養護施設では、ランドセルの数と同じ8人が来年の春小学校に入学する予定だそうです。
 
ちゃんと来年小学校にあがる子ども達の人数を数えているあたり、
ムスカ大佐」の細かい気配りの利いた優しさがじんわりと伝わってきます。
 
ああ、今年も「ムスカ大佐」は頑張っているなぁと、
仕事で疲れ気味の私も「元気」と「優しさ」を頂いた次第です。
ちなみに「ムスカ大佐」は、去年も同じ孤児院にランドセルを届けています。
 
タイガーマスク現象」。
当時の世の中の反応は、マチマチでした。
「自己満足」と切り捨てる人もいれば、「心温まる話」ともてはやす人もいました。
 
既に描いている通り、私は自分でも実行したいと思ったほどこの活動には肯定的です。
それは、孤児達に寄付をするという素敵な行為もさることながら、
社会に与える影響が、これまで見たどのニュースよりも優しかったから。
「世の中捨てたもんじゃないな」「日本人って優しいんだな」って思った人は、
私だけじゃないはずです。
すなわち、日本人が「自信」を持つ機会になり得たと私は思うのです。
不景気で自信喪失気味の日本人達が、
タイガーマスク現象」を機に、新たな「幸せ」の種を見つけられるといいなと思います。
 
伊達直人」さん、「矢吹丈」さん、「肝っ玉母さん」さん、
そして「ムスカ大佐」さん。
あなた方は、とんでもないものを日本人に贈られました。
それは、日本人の「自信」です。

 
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