「ウサギ」と「カメ」 【Bサイド】

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ウサギが、カメに言いました。
「あの山の頂上まで競争しよう」
 
カメは、答えました。
「いいよ」
 
よーい、ドン!
 
ウサギは、あっと言う間にカメを置き去りにしました。
「あっはっは、やっぱりカメは遅いなぁ」
 
カメは、ウサギがあっという間に見えなくなっても黙々と歩き続けます。
「よいしょ、よいしょ」
 
ウサギは、本気で走るのも面倒になりそのうち退屈になってきました。
「こんなだったら、少し寝たって平気だな」
 
コックリ、コックリ・・・zzz
 
カメは、一生懸命歩き続けます。
「よいしょ、よいしょ」
 
そうしてカメは、なんとか頂上にたどり着いたのです。
「やったぁ!」
 
ウサギの目が覚めたときには、後の祭りだったとさ。

 
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みんな知っているウサギとカメのお話ですが、
このお話の「教訓」は、何でしょうか?
 
ウサギとカメのお話は、明治時代の教科書にも載っていました。
当時の「教訓」は、「油断大敵」です。
 
しかし「教訓」はもっと深いところにあると、私は考えます。
それは、「生きる対象を何にするか」ということです。
 
山頂に向かって登ることを、「生きる」ことと捉えてください。
ウサギの登山は、カメを対象と認識していました。
一方でカメの登山の対象は、目の前の道です。
 
ウサギは、カメを追い抜くことで安心し、
山頂に向かうモチベーションを失いました。
 
一方で、カメはウサギのことは眼中になく、
目の前の道と自分の足を見ながら、
最後までモチベーションを失うことなく、
山頂まで登りきったのです。
 
あなたの「生きる対象」は、どちらですか?
周りを歩いている他者ですか?
それとも、自分の目の前の道ですか?歩いている自分自身ですか?
 
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ウサギは、とても悔しがりました。
「カメに負けるなんて、情けない!」
 
カメは山頂からの風景を眺めて、とても嬉しくなりました。
「なんて綺麗な風景なんだろう!」
 
そして、後からトボトボとやってくるウサギを見つけて声をかけました。
「おーい、早くおいでよ!」
「すっごい綺麗な景色だよ!」
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