ミーム(Meme)−社会の本質−

昨日は、ジーン(Gene)のお話をしました。
ジーン(Gene)とは、「生命」の本能や体を形成する「遺伝子」のことです。
私はその「遺伝子」の「本質」を理解する理論として、
リチャード・ドーキンス博士の「利己的遺伝子」という、
とても興味深い考え方を紹介させて頂きました。
 
「利己的遺伝子」論によれば、
「遺伝子」の「本質」は、自らを複製して増殖させることであり、
「生命」は「遺伝子」にとって、
その野望を達成するための便利な使い捨ての乗り物に過ぎないのです。
しかし私達人間のような高度化した「生命」には、
もう一人同じ体に同乗している存在がいます。
それが、私達個々の「自我」です。
  
「自我」の目的は、もちろん「遺伝子」の複製ではありません。
「自我」の目的は、個々の個体の「幸せ」です。
「自我」が「幸せ」を追求しようとすると、
「遺伝子」の「目論見」と衝突することが多々あります。
 
だから私達人間は、苦しむのです。
例えば(おそらく)「自我」のない昆虫は、
このような「苦しみ」とは無縁に日々生きていると思われます。
 
そんな二人の内なる操縦士に翻弄される我々人間は、
その「苦しみ」を紛らわせるため、様々な「あがき」を行ってきたのです。
この「あがき」の正体が宗教や芸術なのだと、私は考えます。
 
さて、宗教や芸術は「モノ」ではなく「情報」です。
芸術には形がありますが、パンのようにその物質自体に意味がある訳ではありません。
その造形が私達に与える「情報」に意味があるのです。
 
このように「苦しみ」に生きる私達人間は、
「あがき」の結果、様々な「情報」を生み出してきました。
そういった「情報」の中で、特に私達の「苦しみ」に有効な「情報」は、
人から人へと伝播して増殖していくのです。
例えばキリスト教という「情報」は、現在20億人の頭の中に存在します。
 
イスラム教という「情報」も、現在11.9億人という人の頭の中に存在しており、
キリスト教という「情報」と勢力争いしていることは、周知の事実です。
この二つの「情報」は千年以上の長い期間生き残って来ました。
なぜ生き残れたのかと言うと、
「情報」には、「人」を介してどんどん増殖する能力があるからです。
だから、「情報」を有する「人」が死んだとしても、「情報」は死滅しません。
「情報」は「人」を使い捨ての乗り物にして、どんどん増殖していくのです。
 
そう。「情報」はジーン(Gene)と同じ性質を持ちます。
「情報」の「本質」は、自らを複製して増殖させることであり、
「人間」は「情報」にとって、
その野望を達成するための便利な使い捨ての乗り物に過ぎないのです。
 
「情報」に「遺伝子」と同じ性質があると見抜いたリチャード・ドーキンス博士は、
ジーン(Gene)」に対して、「ミーム(Meme)」という言葉を創りました。
「情報」を、この「ミーム(Meme)」という「本質」で眺めると、
驚くほど「情報」の振る舞いの説明がつくのです。
詳しくは、ミームのウィキペディアをご覧下さい。
 
ウィキペディアには、こうあります。

ミーム(meme)とは、人々の間で心から心へとコピーされる情報のことであり、
社会・文化を形成する様々な情報として分析される。
例えば、習慣や技能、物語といった人から人へコピーされる様々な情報である。
あらゆる情報はマスメディアや会話、本、人々の振る舞い、
儀式等によって心から心へとコピーされていくが、
そのプロセスを分析するため、それらの情報をミームとして定義し、
分析することにこの概念の意義がある。
ミームを研究する学問はミーム学(Memetics)と呼ばれる。

 
面白いことに、「ミーム」の観点から「情報」を見ると、
「情報」が「遺伝子」と同じ振る舞いをすることに気づきます。
例えば、増殖する「情報」ですが、
他の「情報」との競争に負けて「自然淘汰」にあって絶滅することもあるのです。
「死語」はその典型例ですし、かつて多くの信者を有した拝火教も今は昔となっています。
 
また「情報」は「遺伝子」と同じく、自らを複製する中で「突然変異」を起こすのです。
例えば、私が創った「ミーム」として、
7,000回以上ツイートして頂いた「泣いたゴリラ」という過去記事があります。
この「ミーム」は、他のブログにも転載されているのですが、
少しずつ表現が変化していることがわかります。
私の創った「ミーム」は、様々なインターネット媒介を通じて、
少しずつ突然変異を行い「進化」していると言える訳です。
 
このように、非常に興味深い「ミーム」。
私達の社会の「本質」を知る上で重要な手がかりになると、私は考えます。
「ミーム」のウィキペディアを眺めてみて下さい。
とても多くの分量の情報が記載されています。
それだけ、「ミーム学」が世の中で注目され、研究されているということです。
 
私は、少しミームを調べてみようと思います。
そうすることで、「世界」の「本質」が見えてくるかも。
 
調べた結果は、このブログで報告させて頂きますね。
大いなる「宝」が隠されている気がして、今私はとてもワクワクしています。