「根」も「葉」もない話

私は、「雑草」に非常に興味を持っております。
道を歩いていて特徴的な「雑草」を見つけると、
「これはなんだろう?」と強い関心が湧いてくるのです。
ですので、私は「雑草」を特定するための雑草図鑑を所持しています。
 
私に言わせれば、人為的に育てられた園芸種の草花よりも、
己の生存を賭けて、最大限に己の力を発揮し、
仁義なき戦いを繰り広げる「雑草」の方が魅力的です。
(ご興味があれば過去ブログ「セイタカアワダチソウの仁義なき戦い」を、ご覧下さい)
 
単に「綺麗」という情報以上に、
「雑草」の「生き様」には、驚嘆することや学ぶことが多くあります。
先日のブログで、
「雑草」の「生き様」や「生存戦略」は、経営学にも活かせるというお話をしましたが、
人の生き方にも十分に活用できる「生き様」や「知恵」がそこにあると、私は考える次第です。
 
そういった「生き様」の観点で、私が最も驚嘆した「雑草」があります。
それが、「アメリネナシカズラ」です。
(ウィキディアは、こちら

草の上に、ラーメンのような黄色い線が絡まって乗っていると思います。
 
これを拡大すると、こんな感じです。(開花時)

 
見た目で、なんだか気持ちが悪いなと感じた方がいるかもしれません。
そんなあなたの直感は、「正解」です。
この「雑草」は、他の植物に寄生して養分を奪って生きています。
 
驚くべきことは、彼らには「根」も「葉」もないということです。
地上50センチのあたりを、画像のように他の草に絡まって広がっていきます。
細い「茎」で宿主に巻きつき、付着しているところから吸盤を出して付着し、
吸盤から養分や水分を吸収しているようです。
様々な植物に寄生し、宿主を選びません。
 
そういった形で生計を立てているので、彼らには「根」もなければ「葉」もないのです。
ただし増えるための「花」だけはあります。
 
この草は、1970年頃に東京都府中市多摩川付近で初めて確認された外来種です。
現在では、北海道から九州までの全国に定着が拡大しています。
 
この草は、私の実家の埼玉の方でも普通に見ることが可能です。
側道の整備されていない植栽の上に覆い被さって、
ラーメンのようなツルが伸びていました。

アメリネナシカズラ」は、私達の身の周りに普通に生きている「雑草」です。
 
養分を吸われている草の方は、
可哀想に枯れてしまって変色しています。

 
なお、この草の花言葉は「下賎」だそうです。
「さもありなん」という感じですね(笑)。
 
まあ、この「アメリネナシカズラ」も必死に工夫して生きている訳ですが、
私は、こういう他者から養分を奪う生き方はしたくないと直感的に思います。
 
「なぜだろう?」と考えるに、
自分の「心・自我(Self)」が、それを歓迎していないようです。
「本能・欲望(Gene)」的には、子孫を残せればそれでよいのだと思いますが。
誰かを「不幸」にして生きることを、「心・自我(Self)」は望まないのです。
 
そういう意味では、「アメリネナシカズラ」は、
「本能・欲望(Gene)」のネガティブな面を、私達に見せてくれているのかもしれません。