「カメ型人間」のススメ

私は「ウサギとカメ」の童話が大好きです。
カメがウサギをやっつけるから、好きなのではありません。
 
そこに隠されている「教訓」が、
私達の「人生」にとても「効く」から好きなのです。
詳しくは、過去ブログ「ウサギとカメ【Bサイド】」をご覧下さい。
私は、人生相談を受けるときには、大抵この話を出します。
現状を打破するとても大きな気づきと納得感を、相手に感じてもらえるからです。
私自身も「人生」にくじけそうになると、このお話を思い返します。
 
「ウサギとカメ」のお話は、日本では知らない人はいないでしょう。
ウィキペディアによりますと、
日本には西欧との貿易が盛んになった室町時代後期以降に流入したとみられています。
 
一般に知られるようになったのは、明治になって教科書に採録されてから。
明治時代の初等科の国語の教科書には「油断大敵」というタイトルで掲載されていました。
明治時代と言えば、日本は着実に発展を遂げている時代です。
そういった現状に驕ることなく「着実」に進めよという政府の意向が、
込められているのかなぁと感じます。
「ウサギとカメ」は、
コツコツ積み上げて物事を成し遂げる日本人の美徳にマッチしたお話なのでしょう。
 
しかし私がこのお話に感じている教訓は、「着実」でも「油断大敵」でもありません。
 
それは、上記の過去ブログにも描いているのですが、
「何を人生の対象にして生きるか」ということです。
 
ウサギとカメの競走。
 
ウサギは明らかに、カメを競走の対象としていました。
カメを引き離して優越感を味わいたいから、カメに競走を申し込んだのです。
 
一方で、カメはウサギを競走の対象にしていません。
カメがウサギの申し出を受けたのは、
山頂に到着することを素晴らしいことだと感じたからでしょう。
もしかしたら、ウサギと一緒に山頂の風景を見たかったからかもしれません。
 
皆さんに問いますが、
これ以外にカメがウサギの申し出を受ける理由があるでしょうか?
 
そう。
このお話の隠された教訓をくみ取るには、カメ側の心理に立つ必要があります。
私も含めて多くの人は、他者を人生の対象にするウサギ型人間なので、
カメ側の心理に気づけないのです。
私もそうでしたが、
「絶対負ける競走を受けるなんて、このカメは変わり者だなぁ」という感じで、
カメの存在を軽く観ていたと思います。
その時点で、ウサギ側の視点から脱却できていないのです。
 
さて、物語の内容に戻りましょう。
場面は、物語の中盤です。
スタートダッシュを決めたウサギは、カメを十分に引き離し満足しました。
 
カメが競走の対象となっているウサギにとって、既に目的は達成されたのです。
ですから、ウサギは昼寝を決め込みました。
ウサギにとってのゴールは、山頂ではなく、カメに大差をつけることだった訳です。
 
私もそうでしたが、
「なぜウサギは競走の途中で昼寝なんてするの?バカだなぁ・・」という
ウサギの心理に深くアクセスしない決めつけをしてしまうと、
この物語の隠された教訓に辿りつけません。
 
一方、カメにとってのゴールは、ウサギとの話し合って決めた山頂です。
山頂をじっと見つめ、着実に一歩一歩前進します。
 
山頂をじっと見つめて一生懸命に登っていたので、
途中で眠りこけているウサギにもきっと気づかなかったでしょう。
 
そうして、カメはウサギよりも先に山頂にゴールしました。
 
皆さんに問います。
ウサギの敗因は、なんだったのでしょう?
ウサギとカメ、それぞれの心理を考慮して考えてみましょう。
 
 
 
「油断をしたから」という答えでは、表面的です。
 
私はこう考えます。
ウサギが、ゴールを見誤ったから。
 
ウサギがゴールを見誤らなかったら、昼寝をすることなんてあり得ませんでした。
 
そこのところ、カメはきっちりとゴールを把握していました。
決めたゴールに向けて、一歩一歩進んでいったのです。
 
カメは、教えてくれます。
(1)今を生きる上でのゴールを設定しよう
(2)どんなに進みが遅くても構わない。
   決めたゴールをいつも「心」に想い描いて、毎日一歩でも半歩でも進もう。
 
ウサギも、教えてくれます。
(1)ゴールを他者に設定してはいけないよ。
   他者を追い抜いたって、本当のゴールじゃないんだ。
(2)最も愚かなことは、カメのくせに、ゴールを他者に設定することだ。
   これほど惨めで無意味なことはないぜ。
   他者に抜かれるたびに苦しんで、「おまえはマゾか?」って言いたくなるよ。
(3)かと言って、ウサギのおまえも、ゴールを他者に設定したらいけないからな。
   競走の途中で昼寝をしたオレをバカにしているかもしれないけど、
   おまえだって絶対「人生」の途中で昼寝をやらかすぞ。
   「優越感」には、注意しな。
   「優越感」では、前に進めない。あくまで、自分の気構えで前に進むんだ。
 
私の今のゴールは、自分から観て「優しくてかっこいい男性」になること。
周囲には気を取られずに、一歩一歩毎日毎日、進んでいきたいと思います。