機械が仕事を奪っても、人類はその分仕事を増やす

マサチューセッツ工科大学の経済学者デイビット・オーター氏は、
機械による自動化のネガティブな予測が多い中で、
新しい機械の登場により人間の新たな雇用が生まれていると
自身のレポートで指摘しています。
(引用元:GIGAZINE
 
確かに私は、パソコンのエクセルというソフトを使って仕事をしています。
昔にはやる必要のなかった新しい仕事が、パソコンによって生み出されているのですね。
 
それからデイビット・オーター氏は、こんな指摘もしています。

1980年から2010年の間にATMが急速に普及したにも関わらず、
アメリカの銀行員の数が増えている。
これはATMの普及によって
もともと銀行員の業務の一部だった現金の取扱い業務が自動化されたが、
手が空いたことにより、銀行員は金融商品に関心を抱く顧客への説明や、
手続きの処理に時間を割けるようになったということ。

 
ATMが登場したにも関わらず、銀行員が増えていたなんて驚きですね。
だから銀行の引落手数料や振込手数料は、
あんなに高いままなんだなと納得します。
 
結局、どんなに機械が人間に楽をさせようとしても、
人間は人間で、空いた時間で新たな仕事を創り出してしまうようです。
 
このような事実を観ると、
機械が全部やってくれて人間が仕事をしなくてもよい世界なんて、
蜃気楼のようなものだと私は想います。
どんなに追っても追っても、砂漠に現れた幻のオアシスには永遠に辿り着けない。
 
人は、本当に働くことが好き?なようです。
最近日本では、ライザップという新しいお仕事が増えました。
ライザップでは、
今まで自分自身で行っていたダイエットを、
他の人に管理してもらうことができるのです。
 
これは素晴らしいことかもしれませんが、
その分世の中に人間の新しいお仕事が増えたということを意味します。
 
銀行の金融商品や、ライザップ、
この2つに共通することは、人間の「欲」です。
「お金を増やしたい」
「見た目をよくして、人からよい評価を得たい」
 
結局、こんなにテクノロジーが発達しても、人の仕事が減らないのは、
人間に無限の「欲」があるからです。
 
「楽をしたい」という「欲」に対応するため、
24時間営業をしたり家まで配達をするスーパーマーケットも増えてきています。
 
もちろん新たな仕事の創造は、雇用の創出というよい面もありますが、
24時間営業の店がなかった昔は生活が成り立たなかったのか?というと、
そうでもなかった訳です。
昔は夜中の2時や3時に外出をする人は、ほとんどいませんでした。
しかし、今は夜中でもコンビニ等で買い物ができるため、
夜中の2時や3時に活動する若者も増えています。
 
なぜ人は、どんどん仕事を増やすのでしょう?
決して、人が仕事好きだからとは思いません。
 
私がイメージするのは、ハムスターの「回し車」です。

 
人類は、何か高次な構造的な枠組みに囚われて、永遠と仕事を作り続けます。
 
それを駆動させるエンジンは、尽きることのない「欲」です。
機械が人間を楽にしてくれるという理想郷を求めて、
今日も人類は「回し車」をせっせと回します。
 
ブータンが、なぜ世界で一番「幸せ」な国だと言われるのか?
私達はその意味を真剣に考える必要があるのかもしれません。
 
ブータンが仏教国だということも、大きな鍵です。
「幸せ」を見つけるために、
「煩悩」や「欲」の正体を喝破した仏教は本当に優れた哲学だと私は考えます。
 
「足るを知る」
 
「回し車」の中を走っている私達には気づきにくいことですが、
「回し車」から降りるという選択肢も存在するんだということを
私達は知るべきだと想います。
 
流されずに、自分の頭で考えてみる。
「回し車」から降りるには、まずこの能力が必要です。