「見えないもの」を見る力

現在私達には、「見えないもの」を把握する力が求められています。
この力の重要性は近年特に顕著であり、
しかもこれから先、その重要性は指数関数的に増す一方です。

「見えないもの」と言っても、
「神」とか「魂」のような神秘的な抽象概念のお話しではありません。
「見えないもの」とは、
例えばパソコンのように構造を直感的に把握できない道具のことです。
 
自転車のように構造が「目に見えるもの」の場合、
それが故障しても、その挙動を注意深く観察すれば、
いつか故障の原因もわかると思います。
しかし、パソコンの動作が不調になった場合は、
パソコンをいくら眺めても、
それを修復する手立ては永遠に見つからないでしょう。
パソコンの構造は、電子のレベルで目に見えません。
 
目に「見えないもの」の構造は、
概念として頭にイメージするしかないのです。
 
私達の周りには、
このように目に「見えないもの」がどんどん増えています。
 
そういった環境に適応するためには、
「見えないもの」を見る抽象的思考力が必要となる訳です。
空想や妄想が得意な人はこの力を備えていると、私は考えます。
だから、オタクと呼ばれる人達が、この分野に強いのです。
 
「見えないもの」を見る力とは、
目の前の現実からいかに自由になれるかということだと、私は思います。
 
目の前の現実以外にも、確かに「世界」があり、それが機能しているという実感。
この感覚がないと、パソコンやパソコンソフトを意のままに操作することは難しいはずです。
 
パソコンやパソコンソフトは、外からいじるものではありません。
その「世界」に飛び込んで、中からいじるものなのです。
 
情報化という大きな転換期を迎えたこの社会において、
社会に適応できる者のパワーバランスは変わっていきます。
 
狩猟の時代には、フィジカルな強さを持つ者が、
農耕の時代には、勤勉さを持つ者が、
工業の時代には、工場の一員として働く従順性を持つ者が、
商業の時代には、組織の中で働く協調性を持つ者が、
それぞれの時代の強者でした。
 
そして情報化の時代を迎えた今、
私達は新たな強者を迎えます。
それが「見えないものを」見る力を持った人々なのです。
 
現在は過渡期であるため、この変化がそこまで顕在化している訳ではありません。
しかし企業の応募を見てみると、
パソコンを使えることが必須であることが非常に多いです。
どんなに協調性のある人でも、
パソコンを使えなければ採用されない時代が既に来ているのです。
 
この傾向は、今後もっと顕著に深化していきます。
なぜなら、私達の扱う商品や道具は、情報化を逆戻りすることがないからです。
電子マネーもよい例ですが、
今後あらゆるものが便利になる代わりに、目に見えなくなっていきます。
 
情報化が更に進展すれば、
インターネットを活用した在宅勤務が徐々に普及するはずです。
そのような社会になっていったときに、
もはや協調性は過去の遺物になると私は考えます。
 
協調性が不要なそんな時代は狂っていると感じますか?
 
おそらく、狩猟の時代が終わり農耕が始まったとき、
フィジカルに強い者達は同じような感傷にひたったでしょうし、
工業の時代が終わり商業の時代に移り変わったときには、
勤勉で寡黙な労働者達から見たら、
コミュニケーション力でうまく立ち回る新しいタイプの強者を疎ましく思ったことでしょう。
 
これからは、現実世界の重力から自由になれる発想力豊かな人達の時代がやってきます。
「目に見えないもの」をいかに生みだし、いかに操るのか?
これを得意とする人達が、時代の寵児になると私は予測します。
 
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