「アレロパシー」

ずっとアウトプットしたかったお題があります。
それは「アレロパシー」。
 
雑草に興味を持つ私は、
セイダカアワダチソウやナガミヒナゲシ等、
現在隆盛を極めている勝ち組の雑草が、
土壌に「アレロパシー」という毒を分泌することを知りました。
この毒で、他の植物の生育を阻害するのです。
 
「生命」が生き残るための、
どちらかというとダークヒーロー的な能力に、私は興味を惹かれました。
 
アレロパシー」をもっと知りたいと思い、
ウィキペディアを調べたのですが、
説明の分量は大して多くなかったです。
ネットの世界ではまだあまり語られていない現象であることを知りました。
 
もっと深く知りたいと思い、
キンドル電子書籍をあたったのですが、
アレロパシー」という検索でひっかかる電子書籍はありませんでした。
そこで紙の本をアマゾンで検索したところ、
ようやく中古の書籍が見つかりました。
 
アレロパシー 他感物質の作用と利用(藤井義晴著)」農文協
  
この本で「アレロパシー」に関する知識を深めることができました。
まずわかったことは、
アレロパシー」の定義です。
 
アレロパシー」とは、
「ある植物から放出される科学物質が他の植物や微生物に何らかの影響を及ぼす現象」
なのだそうです。
 
そして一部の特殊な雑草の専売特許ではなく、
多くの植物が「アレロパシー」で他の植物を攻撃していることがわかりました。
 
例えば、イネや小麦、ソバ、キュウリ、トマト、エンドウ、里芋、サツマイモ。
このように身近な植物も「アレロパシー」を行っています。
 
セイダカアワダチソウのような雑草が繁茂するのは困りものですが、
イネが「アレロパシー」で他の雑草を排除することができれば、
農薬いらずの栽培ができそうです。
実際にフィリピンやアメリカでは、そのような研究が行われています。
 
注目すべきは、植物によって「アレロパシー」の成分が様々であること。
例えばマメ科の植物が、マメ科以外の植物を攻撃する成分を出したりします。
 
このような毒素の選択的な働きは、
微生物から産生される抗生物質と同様に、
人間には毒ではないが体内の細菌にのみ作用するという、便利な使い方もできそうです。
 
現在、あらゆる抗生物質が効かない「スーパー耐性菌」が問題になっています。
抗生物質の研究はものすごく進んでいますが、
アレロパシー」の医療への活用については、まだほとんど研究されていないとのこと。
もしかしたら、そろそろ「アレロパシー」の出番かもしれません。
 
植物を医療に利用するという観点では、
漢方やレメディといったアプローチが既に存在していますが、
これらも植物の「アレロパシー」を活用した技術ではないかと、私は考える次第です。
 
と言う訳で、
アレロパシー」に興味惹かれて少し調べてみたら、
大きな手応えのある「知識」にぶつかりました。
その領域は、まだまだ未開拓のフロンティアです。
 
アレロパシー」の研究開発は、
食糧問題や医療への、人類の切り札に成り得ると考えます。
是非今後、研究する人が増えるといいなと、
人任せに期待する次第です。
 
 
アカマツの「アレロパシー」の影響で、樹下にはほとんど草が生えません