『天使のみぃちゃん』

『天使のみぃちゃん』
 
みぃちゃんはお母さんが大好きだ。
今、お母さんには好きな男の人がいる。
 
「みぃちゃん、今日はお行儀よくしててね」
お母さんは今日たくさんお化粧をしている。
あの男の人が来るんだ。
 
みぃちゃんはあの男の人が好きじゃない。
だけど、お母さんのことが大好きだからお行儀よくしてようと思った。
 
「あら!いらっしゃい!!」
お母さんが玄関で出迎える。
男の人がお母さんに抱きついた。
「んもう!子供が見てるでしょ?」
男の人が来てる時、お母さんはみぃちゃんの名前を呼んでくれない。
 
男の人が来てる時、みぃちゃんは部屋の隅で絵本を読んでいる。
かわいいお姫様とかっこいい王子様のお話。
みぃちゃんもこんなお姫様になりたい。
 
「ごめんなさい。」
お母さんが男の人に謝っている。
怖い・・・。すごく怒っているよ。
男の人がお母さんをぶった。
やめて・・・。お母さんを苛めないで!
 
男の人が帰って行った。
お母さんは立ったまま泣いている。
「みぃちゃんごめんね・・・」
どうして謝るの、お母さん?
みぃちゃんはお母さんが大好きだよ。どうして謝るの?
 
みぃちゃんはお母さんの足に抱きついた。
あの男の人よりももっともっと力いっぱい。
「みぃちゃんごめんね・・・」
お母さんの顔は涙でぼろぼろ。
でもね、お母さんはお姫様みたいに綺麗なんだよ。
あ、そっか!
お母さんはお姫様だから、みぃちゃんはかっこいい王子様になろう。
お姫様を守るかっこいい王子様に。