たまには脳細胞のことを考えてみよう

突然ですが、脳細胞は一日に数万個のペースで死んでいます。
一秒に一個くらいのペースです。
 
「えっ!大丈夫なの?」って思いませんか?
こうしている間にも、私やあなたの脳細胞はどんどん死んでいっている訳です。
 
しかも、生まれたときから
脳細胞は減ることはあっても増えることはありません。
 
手に傷ができたときは、いつの間にかその傷が回復しています。
これは、手の細胞が新しく分裂して生まれているからです。
お風呂で出る垢も、細胞が新しく生まれて入れ替わっている証拠。
だけど、脳細胞が新たに生まれることはないんです。
 
「脳細胞も増えたら良いのに・・」って思いますか?
本当にそう思いますか?
 
実は、増えるとまずいことがあります。
あなたがあなたでなくなってしまうのです。
 
そもそも、あなたがあなたでいられるのは、
生まれたときの脳細胞の配置および
その後学習した内容によって形成された脳細胞間の回路のパターンが
生まれてから死ぬまで崩れないからです。
 
脳細胞が死んでも、そのパターンは崩れません。
もともと使っていない細胞から死んでいくし、
使っている細胞が死んでも回路は残るからです。
 
だけど、もし脳細胞が新しく生まれたとしたら、
脳内の回路のパターンが崩れます。
例えば、昨日覚えた英単語。
覚えた時には、脳内にその英単語に応じた回路が形成されます。
もし寝ている間に脳細胞が増殖したら、その回路は崩れ、
せっかく覚えた英単語は記憶から消え果ててしまいます。
 
これは大変なことです。
毎日毎日新しく脳細胞が増殖していったら、
自分の名前や親の顔さえ覚え続けることができなくなります。
 
脳以外の体の細胞は、新陳代謝でどんどん入れ替わっているのに、
脳は、生まれたときの細胞でえんやこら頑張っている訳です。
彼らに、交代要員なんかはありません。
だけどそのお陰で、 「わたしはわたし」「あなたはあなた」でいられる訳です。
 
この頑張っている脳細胞達に、たまには感謝しないといけませんね。
と言うか、生まれてからずっと一緒に生きているこの脳細胞達こそが、
「自分そのもの」なのかもしれない訳です。