カモメの海兵隊



 
今、皇居にカモメがいることをご存知でしょうか?
 
昔は、皇居にカモメなんていなかったんですよ。
しかし、最近は他の水鳥に混じってユリカモメが皇居に出没しています。
カモメと言えば普通、海岸を想像しますよね。
海から遠い千代田区のど真ん中に彼らが生息していることに、私は少し驚きました。
 
東京に限って言えば、
ここ数年でユリカモメは川沿いにどんどん内陸へと進出して来ています。
例えば、秋葉原神田川という川が流れているのですが、
昔はカモメなんて全くいませんでした。
しかし、最近はカモメがハトのように団体でたむろするようになっています。
 
その神田川の近くで、ハトに餌をやる人がたまにいるのですが、
最近見かけた餌やりの場面では、ハトとカモメの争いが壮絶でした。
その争いを見ていると、それぞれの鳥の個性が出て面白かったです。
例えばハトは、ご存知のように我先に餌を食べにいきます。
しかし、カモメは1羽が餌を見つけると一旦仲間に知らせに戻るのです。
そして、仲間を引き連れ団体で餌を食べに来ます。
おそらく、カモメという種族は海で魚の群れを誰かが発見したときに
仲間に知らせ合うことで助け合い繁栄してきたのではないでしょうか。
そのカモメの仲間想いの行動に、そんな想像をしました。
 
また、カモメの足は水かきになっていて、水の上を浮かんで進むことができます。
しかし、皇居や神田川のカモメはよく電線にもとまっているのです。
ハトのようにしっかりと枝等をつかめる構造の足ならわかるのですが、
カモメの水かきになっている足で、
どのように電線にとまっているか不思議に思いませんか?
私は不思議に思い、下から電線にとまっているカモメの足を観察したことがあります。
なんと、彼らは絶妙なバランスをとって
単に水かきで電線に乗っていただけだったのです。
さすが鳥。バランス感覚が優れているんだなぁと感心した覚えがあります。
 
ところで、ユリカモメは私の好きな鳥の1つです。
あの鮮やかで清涼感のある白い外見に、心が惹かれます。
ですので、海岸だけでなく東京の街中で日常的に彼らに出会えるのは嬉しい限りですが、
年々内陸への進出を果たす彼らに、生物としての逞しさを感じずにいられません。
彼らの力強さを見ていると「カモメの水兵さん」なんて可愛い存在ではなく、
「カモメの海兵隊」と言った方がしっくり来るような、そんな印象を受ける訳です。