飲食店で「ごちそうさま」と言いますか?

私は、飲食店で料理を頂いて店を出る時に「ごちそうさま」と言います。
しかし、昔ネットの掲示板を見ていたら、
「お金を払っているんだから、ごちそうさまって言う必要はないだろ」って意見が
多数見受けられたので、驚いたことがあります。
 
その昔、ホリエモンは「お金で人の心が買える」と言っていました。
そういう考え方をする「お金万能主義」の人って、
世の中に相当数いるのかもしれませんね。
その理論に従うなら、
飲食店でちゃんとお金を払えばお客様だから、
「ごちそうさま」って言う必要は、確かにないですよね。
 
しかし、私の意見を言わせてもらうなら、
「お金で人の心が買える」ってのも、
「定食屋でごちそうさまって言う必要がない」ってのも、間違っています。
 
世の中で、人が他者を動かす原動力となるものは、大きく分けて3種類。
「権力や暴力(チカラ)」と「お金(モノ)」と「気持ち(ココロ)」です。
これらは短期的に他者の行動に変化をもたらすという点は共通していますが、
長期的に他者に残す影響は、それぞれ大きく異なります。
 
まず「権力や暴力(チカラ)」は、
相手の心にマイナスの想いを生み出します。
「やらされて悲しい」という想いです。
長期的には、相手から隙あらば復讐される結果となるでしょう。
「権力や暴力(チカラ)」は、「マイナスの信頼」という負の財産を残す訳です。
 
次に、恩返し等「気持ち(ココロ)」によって他者が動く場合、
他者の心にはプラスの想いが生じます。
「やってあげてよかった」という想いです。
長期的にも、相手は「またやってあげたい」という想いを持ち続けます。
「気持ち(ココロ)」は、両者のお互いに対する信頼というプラスの財産を残します。
 
最後に、「お金(モノ)」で他者を動かす場合、
他者の心には、マイナスの想いもプラスの想いも残りません。
あるのは「お金をもらったからやろう」という発想のみです。
もちろん、飲食店だってお金をもらったら「ありがとうございました」とは言うでしょう。
しかし、1回お金を払って「ありがとうございました」と言われても、
2回目お金を持たずに手ぶらで店に行ったら、
1回目と同じように「ありがとうございました」と言われるでしょうか?
長期的な信頼関係は、「お金(モノ)」のみでは築けないのです。
 
これらは、会社の社長の挙動で考えるとより理解しやすいと思います。
以下、それぞれ上記3つのパターンで従業員に接する社長を例示してみました。
①「権力や暴力(チカラ)」型の社長
 タコ部屋で従業員を恫喝して強制的に働かせる社長←犯罪です
②「お金(モノ)」型の社長
 給料を払ってやっているんだから当然だというスタンスで、
 平気で従業員に罵声を浴びせるような社長←従業員は辞めていくでしょう
③「気持ち(ココロ)」型の社長
 従業員一人ひとりを承認し、従業員一人ひとりに感謝を表す社長
 ↑従業員も社長に感謝し、自ら率先して会社に貢献しようとするでしょう
 
ホリエモンも大きな会社の経営者だったので、
まさか本気で「お金で人の心を買える」と思っていた訳ではないでしょう。
人はパンのみに生きるにあらず。
「お金(モノ)」の力だけでは、
従業員のモチベーション向上や、よい社風の組織を創ることはできません。
むしろ人の心を動かすには、
「お金(モノ)」よりも「気持ち(ココロ)」の方が重要だったりします。
 
荀子曰く
 徳をもって人を支配する者は王たり。
 力をもって人を支配する者は弱く、
 富をもって人を支配する者は貧し。