「美」か「力」か

前回の続きを少し。
 
前回は「真善美」のお話をしました。
そして、上記3つのうち他者に影響を与えることができるのは、
「美」だけである、と書きました。
 
例えば、イジメっ子にイジメを止めさせるには、
「イジメは間違ったことだよ」ではなく、
「イジメは悪いことだよ」でもなく、
「イジメかっこ悪い」なのです。
なぜなら、「真」や「善」を判断する価値観は人によって個人差が大きいのに対し、
「美醜」は人類の多くで共有可能な価値観だからです。
ということは、
「真」と「善」を他者に伝えるために、
「美」を言語として活用することもできそうです。
 
例えば、ジョン・レノンのイマジンの歌詞。
「Imagine all the people Living life in peace
 (想像して 全ての人が平和に生きる世界を)」
 
「音楽」という「美」を言語として、
世界中の若者が戦争を「悪」とみなしました。
ベトナム戦争の頃、戦争が「善」であると国家がプロパガンダしていた時代に。
 
他にも、映画や小説、漫画、絵画、詩。
「美」をつかさどる「芸術」は、人々に価値観を伝播する機能を有します。
 
「真善美」のうち、「世界」を変えることができるのは「美」だけなのですが、
他にも「世界」を変える要素が存在します。
それは、「力」です。
 
まあ、他にも「お金」や「愛」などを思い浮かべた人もいるかもしれませんが、
「お金」の方は「権力」とともに、「力」にまとめてしまってよいと思います。
また、「愛」単独では「世界」を変えることはできないように感じます。
「愛」は対象となる誰かに向けるものであり、
不特定多数の「世界」に向けるものではないように思うからです。
 
話が脱線しましたが、
私が考える世界を変える要素は、「美」と「力」の2つとなります。
「力」で世界を変えることの代表例は、「革命」でしょう。
「力」にはネガティブな要素も多いですが、私は「力」を否定しません。
「真」と「善」が込められた「力」には、どちらかと言えば賛同します。
まあ、その時の「真」と「善」が押しつけになってしまうことがタマニキズですけどね。
やはり「力」でないと打開できない局面は、どうしても存在します。
 
そして、もう一方の世界を変えるための武器。それが「美」です。
「力」が「北風と太陽」の「北風」なら、
「美」は「太陽」です。
「美」は人々の内面に直接働きかけ、
人々の価値観に「真」と「善」を伝播することができます。
 
このブログでは、私は「美」による「世界」の変革を目指しています。
ほぼ毎日書くブログでは、美しい文章になるよう細心の注意を払っていますし、
また、執筆する小説においても『優しい小説』をなるべく多く産み出し、
読者の方が「真」と「善」を考えるきっかけとなれば幸いだと思っています。
 
また、世の中には、私なんかよりも「美」の才能に恵まれた方がたくさんいらっしゃいます。
すなわち、芸術家、小説家、漫画家、ミュージシャン、演奏家、劇団の方々、etc。
そういった方々には、是非自身の「美」の力を認識していただいて、
「真」や「善」を伝播することを意識してもらえたらなと思います。
 
明治維新の時、多くの先人が「日本」をよくしようと頑張ったお陰で、
今の自由国家「日本」が存在しています。
戦後、多くの先人が「日本」を豊かにしようと頑張ったお陰で、
今の先進国「日本」が存在しています。
 
「社会」や「世界」をよくしようという意志は、持っていて恥ずかしいものではありません。
むしろ先人達の成し遂げたことを思うと、
私たちも子孫のために「世界」をよくしようという意志を持つべきと、私は考えるのです。
 
世界を変えることのできる武器は2つ。「美」か「力」です。
「力」は、いよいよという時にしか使えない武器です。
であるならば、私は「美」を武器に「世界」を変えようと呼びかけます。
 
単なる一個人が何を言っているのかと思いますか?
確かに、私は単なる非力な一個人です。
しかし、ネットの世界の登場で今までの常識が通用しなくなってきているのもまた事実。
ネットの力により、ジャスミン革命という「世界」の変革が実現したことを忘れてはいけません。
誰かが「真」や「善」を思い、誰かがその思いをネット上に表現する。
そして、その思いに共鳴する人々がネット上に多数現れ、その思いが集積する。
思いがどんどん集積すると万有引力が発生し、
ついにはその思いが太陽のような恒星となり、
「世界」を変革する光を発するようになるのです。
 
イマジンの歌詞の中で、特に私のお気に入りの部分を紹介します。
「You may say I'm a dreamer
 (夢想家だと君は言うかもしれない)
 But I'm not the only one
 (だけど、僕は一人じゃない)
 I hope somebody you'll join us
 (いつか、あなたも加わって)
 And the world will be as one
 (世界を一つにしていこう)」
 
私は、ジョン・レノンの呼びかけに加わろうと思います。