「どういたしまして」

昔、英語の教科書で、
「Thank you!」に対しては
「You are welcome!」で返すと習いました。
日本語の訳は、「ありがとう」に対して「どういたしまして」。
 
ところで、日常生活では「ありがとう」という言葉はよく使いますが、
「どういたしまして」は、使いどころが少ないような気がします。
 
先日、たまたま「どういたしまして」という言葉を使ったんですが、
「どういたしましてって、どんな語源から来てるんだ?」という疑問が
ずっと頭から離れなくなってしまいました。
 
そこで、今日はその疑問を解決しようと思います。
ウィクショナリーによりますと、
「どういたしまして」は「どう、いたし・まし・て」という4つのパーツに分かれます。
それぞれ、
「どう」→どのように、何を
「いたす」→するの謙譲語
「ます」→丁寧語を造る助動詞
「て」→反問的用法の終助詞
 
上記を参考に「どういたしまして」を訳しますと、
「えっ?私、何をいたしまして?」という感じでしょうか。
更に意訳すると、
「何を、したというわけでもありませんよ(だから、気になさらないでください)」という
意味合いになります。
ですので、「どういたしまして」のイントネーションも本当は、
「どういたしまして?」と語尾が上がるのが語源からすると正しいようです。
まあ今となっては、日常でそんなイントネーションを使うと
逆に相手に通じないでしょうけどね(笑)。
 
私も今まで意味もわからずに「どういたしまして」を使っていましたが、
「そんな、お礼を言われるようなことはやっていません」って謙遜していたんですね。
 
そう考えると、
「どういたしまして」は、英語の「You are welcome!」とは随分ニュアンスが違います。
英語の方は、
「ありがとう」→「はい、あなたを歓迎しますよ!」であるのに対し、
日本語の方は、
「ありがとう」→「いいえ、お礼を言われるようなことはやっていません」となる訳ですから。
 
何だか、日本語の方は、謙遜が過ぎるような気もします。
日本人って、贈り物を渡す時も「つまらないものですが」って渡しますからね。
謙遜は美徳でもありますが、一歩間違うと卑屈にも見えてしまいます。
それに、相手の感謝の意を肯定していないのも問題ですよね。
これって、相手の気持ちを承認していないということになりませんか?
「どういたしまして」を使うと、相手との信頼関係も少し萎縮してしまう気がします。
 
「Thank you!」も「ありがとう」も両方とも私の好きな美しい言葉なんですが、
「どういたしまして」の方は「You are welcome!」と比べると個人的には若干見劣りします。
「Thank you!」→「You are welcome.(はい、あなたを歓迎しますよ!)」という流れの方が、
発展的な人間関係を築けそうな気がしません?
 
そろそろ、相手の感謝を承認するような「ありがとう」への返しの日本語を
新たに創ってもいいかもしれません。
 
少し考えてみたのですが、「はい、喜んで!」とかどうでしょうかね?
う〜ん、やっぱダメですね。何だか某居酒屋チェーンみたいですし。
 
・・・おお!じゃあ、これはどうでしょう?
「また、いつでもお手伝いしますよ」とか「また、いつでも言ってください」とか。
これなら、相手のことも承認しているし、自分も謙遜していない。
しばらく、「どういたしまして」の代わりに使って実験してみようかな。