「空飛ぶスパゲッティ・モンスター教」


 
先日私の働いている事務所に、
キリスト教系の新興宗教の勧誘の方がいらっしゃって、
冊子を置いていかれました。
「人は何故苦しむのか?」そんなようなテーマが表紙に書かれており、
私は哲学的な興味を持って、冊子を開きました。
そうしたら、書いてあった内容は「聖書によると・・・」です。
私は、その先は読まずに静かに冊子を閉じたのでした。
 
「聖書によると人には原罪があるから・・」とか何かずるいような気がします。
「聖書に書いてあることは全て正しい」という前提を持って来られたら、
疑問はそこでストップ。
聖書の真偽を議論することも許されません。
 
聖書にだって誤りくらいはあると思うのですが、
聖書を信じる人たちは、聖書を疑うこと自体罪だと考えてしまうようです。
 
さてさて、そのような無理を通すと、現実世界との間に深刻な矛盾が現れるものです。
その最たるものが、進化論をめぐるアメリカ等の教育現場で発生している問題です。
 
「人間は猿から進化した」
この事実は、聖書の記述に反するとして、
アメリカ等の教育現場では、進化論を教えない学校が多々あります。
2005年、カンザス教育委員会でも、
公教育において、進化論と同様に
インテリジェント・デザイン(ID説)の立場も教えなければならないという決議が
評決されることになっていました。
インテリジェント・デザイン(ID説)とは、
知性ある何かによって宇宙や人類が創られたとする考え方です。
ウィキペディアコチラ
まあ、聖書にある天地創造のことですね。
 
そんな決議が評決されようとしているカンザス州の教育委員会に、
ボビー・ヘンダーソンという人が公開質問状を出しました。
「ID説を公立高校で教えるのなら、
 私の「空飛ぶスパゲッティ・モンスター教」も高校で教えてください!」
 
当時のブッシュ大統領を始めとしたID説の信奉者は
「平等のため、進化論のみならずインテリジェント・デザインも学校で教えるべきだ」と
主張していました。
科学的根拠のないID説を学校で教えることに反対していた人々は、これを皮肉り、
空飛ぶスパゲッティ・モンスター教団という仮の団体を作って、
「平等のため、スパゲッティ・モンスターが人類を作ったという説も
学校教育で教えるべきだ」と主張した訳です。
 
このスパゲッティ・モンスター教団の馬鹿馬鹿しさが、
インターネット上でブログに掲載されるなど話題となり、
この教団は、ネット上で一躍有名となりました。
 
かくして、ID説を支持する石頭たちへの「アンチ・テーゼ」の旗印として、
このスパゲッティ・モンスターは祭り上げられるようになったのです。
この教団になら、私も入信してもいいかなと思います(笑)。
 
ある意味、この教団は「真善美」の「真」を信望する人々の教団と言える訳ですからね。