「ドメイン」と「才能」

今このブログでは、
経営学」で「個人」の生き方を模索しようというテーマをやっています。
先日のブログで、『「経営理念」と個人』というのをやりました。
そこでは、企業にとって最も重要なものは「経営理念」であり、
個人も、まずはこの「経営理念」を設定すべきだというお話しをしました。
「経営理念」とは、会社自身が決めた会社の存在意義とでも言うべき概念です。
 
個人も「私の生きる意味はこれだ!」とまず決める必要があります。
そうしないと、価値のある人生がどんなものかも見えてこない。
 
そして、「経営理念」が決まったら次にやるべきは「ドメイン」の設定です。
ドメイン」とは、企業の活動の範囲や領域のことを指します。
例えば、「トマトと野菜カンパニー」を目指すカゴメ
本田技研工業は、「The Power of Dream」ということで、夢を形にすることが彼らの領域。
だから、自動車だけでなく、ASIMOも創っている訳です。
 
ドメイン」とは、もともと生物学の用語であり、
生物の「生存領域」という意味合いで使われていました。
平たく言えば、それぞれの生物の機能に見合った生存の領域です。
例えば、パンダは住宅地にはいませんが、野良猫は住宅地にいますね。
だから、野良猫の「ドメイン」は住宅地と言えます。
同じようにカブトムシは家の中にいませんが、
残念ながらゴキブリの「ドメイン」は・・・。
 
生物にとって、「ドメイン」はどのように決まるのか?
それは彼らの特技や強みによってです。
カブトムシは小学生にも捕まえられるほど動きが遅いですが、
ゴキブリの俊足さと言ったら、人間を凌駕していますよね。
また、ゴキブリの人間察知力も相当なものです。
だから、ゴキブリは人間の住空間を「ドメイン」とできる。
同じように、クモは「糸」という特技を持っているから、
小さな虫が飛ぶ空間を彼らの「ドメイン」とした訳です。
(クモのお話は、先日のブログでもしました。)
 
同様に、会社の「ドメイン」も、
他社に真似できない独自の強みを基に決められることが多いです。
例えば、シャープは「優れた液晶技術」によって、
AV機器や情報・通信機器、電子部品などの様々な領域を
彼らの「ドメイン」と定めています。
 
この「液晶技術」のような他社に真似できない強みを「コア・コンピタンス」と言います。
 
では、個人にとって他者に真似できない強みである「コア・コンピタンス」とは何かというと、
それは「才能」ということになります。
 
「才能」については、以前のブログでも描きました。
 
ところで、自分の「才能」の見つけ方について、先日よい本を見つけました。
日本経済新聞出版社の「さあ、才能に目覚めよう」という本です。
この本には、ID番号があり、この番号でホームページにログインすると、
自分の才能を見つけ出す「ストレングス・ファインダー」というテストを
受けることができます。
 
この本は、取引先の会社で全従業員に配布されていました。
従業員の才能に見合った適材適所を実現するためです。
たまたま従業員の一人に、テスト結果の「才能」を見せてもらったとき、
「ああ、確かにこの方の強みはこのとおりだな」と思ったので、
私もこの本の購入を決めた訳です。
 
この本で、私も客観的な視点で予測される自分の「才能」を知ることができました。
 
この本には、才能についてこのようなことが書かれています。
『才能は持ち主に、その才能を「活かしたい」と思わせる力だけでなく、
 活かして「愉しい」と思わせる力も備えている。
 どういうわけか、最強の脳内回路は、
 この「活かしたい」と「愉しい」という二つのシグナルが
 スムーズに流れるようにできているのである。』
 
何だか「才能」を見出して活かすことって、
とてもハッピーな体験であるような感じがしますね。
 
さて、話しを「ドメイン」に戻しますと、
まさに「才能」を活かすために、個人は「ドメイン」を選ぶ必要があります。
 
自身の「経営理念」を決め、
自身の「才能」を予測したら、
次は「どこで才能を活かして戦うの?」ということになる訳です。
 
あなたの「才能」を活かせる場所はどこでしょうか?
人生に占める時間を考えると、多くの人の「才能」を活かす場所は職場となるでしょう。
私の今までの経験からお話ししますと、
自分の「才能」で、うまくいく仕事はゾクゾクします。
だから、よく映画とかで
「おまえの代わりなんていくらでもいるんだ」という上司が出てきますが、
この言葉は言われた人の今までの仕事への想いを破壊する意味では、
最上級の言葉だと言えます。
 
ですので、給与等の待遇も確かに大事かもしれませんが、
「この仕事は自分の才能によってうまくいっているんだ」という実感は、
幸せな人生を送る上でもっと大事です。
この「自分の才能でうまく行っている」という想いは、
生まれて良かったと感じるほどの至高の体験となります。
芸術家の方々は、この至高の体験を求めて創作しているのではないかなと思います。
 
もし、このブログを読んでくださっている方で、
学生の方がいらっしゃったら、この観点での就職活動をお勧めしますよ。
大切なのは、「どこに入社するのか」ではなく「入社して何ができるのか」です。
 
今まで、企業の「経営学」を個人に当てはめてお話しをしてきました。
経営学」において、企業が獲得する必要があるものは「資金」。
「資金」がなくなれば「倒産」してしまいますから。
そして、個人にとっての「資金」とは何でしょう?
それは、この世界における「居心地」だと思います。
なぜなら、「自殺」をする人はこの世界における「居心地」を完全に失った人々だから。
 
じゃあ個人は、どこで戦ったら「居心地」を獲得できるのか?
「居心地」をたくさん獲得できる場所こそが、
あなたにふさわしい「生存領域」になる訳です。
 
あなたは、今の職場や家庭に「居心地」を感じていますか?
もし感じていなければ、あなた自身の「ドメイン」について、
真剣に考える必要があるかもしれません。