「大矛盾」

今日、「THE BIG ISSUE」を買いました。
「THE BIG ISSUE」は、ホームレスの方が路上で販売している雑誌です。
1冊300円。160円が販売者の手元に残ります。
 
ホームレスの自立を支援する雑誌「THE BIG ISSUE」は、
その趣旨に賛同する著名人のインタビュー記事や
弱者の視点からの記事を中心に鋭い視点を持つ方々が執筆を行っており、
なかなか読み応えのある雑誌です。
 
この「世界」や「人生」に疑問をお持ちの方は、
きっとこの雑誌を読むことで、いろいろなヒントを得られると思います。
なにしろ、この雑誌の執筆者達は、
「人生」とは何か、この「社会(世界)」とは何か、という問いに、
それぞれの答えを持っていそうな方々ばかりだからです。
 
執筆者の一人に、「雨宮処凛」という女性がいらっしゃいます。
雑誌を購入するたびに、
この人の「世界の当事者になる」という記事は読んでいるのですが、
今回の記事では、
この方自身の「弱い立場の人の視点から活動している原点」について書かれていました。
 
彼女には、小さな頃から仲のよかった知的障害のある「いとこ」がいたそうです。
成人した「いとこ」は、
作業所に通いながら恋をしたり時に海外旅行に行ったりして暮らしていました。
ところが、ある日「いとこ」は、風邪の菌が脳にいき亡くなってしまったのだそうです。
容態が急変して家から救急車で運ばれたのですが、
「救急車の受け入れ拒否」により、当日に病院に行くことができず、
翌日に別の病院に行った時には、もう手遅れになっていました。
受け入れ拒否された病院からは、
「知的障害のある人は受け入れられません」と断られたのだそうです。
 
この出来事は、「この国・社会への信頼」を粉々に打ち砕いたと彼女は書いています。
そして、震えるほどの怒りを感じたのだそうです。
それまでは、「日本はマトモな国」と思っていたのに。
 
そして、「いとこ」の身に起きたような出来事が、
あらゆる弱者に起きていることを知ったのだそうです。
この国の「大矛盾」。
「いとこ」の身に起きた「大矛盾」への震えるほどの怒りが、
今の活動の原点となっていると、彼女は綴っています。
 
私も、社会に出るまでは、世界(社会)の「大矛盾」に気づかずに生きてきました。
普通に大学に通い、普通に就職をして。
 
しかし、社会のレールから外れてみて、
私は、弱い立場の方たちとの交流を持つ機会を持つようになります。
「事業に失敗して借金取りに脅かされながらも、深夜の仕事で家族を支える父親」
境界性人格障害(ボーダー)の症状(リストカット等の自傷行為)や持病に苦しみ、
 経済的に自立できないシングルマザーと、その子どもの男の子」
他にも、たくさんの苦しんでいる方に出会いました。
 
そうやって世界の「大矛盾」が、見えてきたのです。
特に、上記のシングルマザーの子どもの男の子との出会いが、私の心を揺さぶりました。
この男の子は、とても愛想のいい男の子でした。
愛情の不足している孤児院の子どもが、他者に愛想を振りまくのと同じように。
彼は、私にもよく懐いてくれました。
別れ際、「もっと遊びたかったのに」と大泣きされた時には、
本当に胸が締め付けられる思いでした。
 
今は、その母子家庭に毎月経済的な支援をしていますが、
その男の子とは会うことができていません。
この子の幸せを切に願っていますが、
普通の子よりも重い環境のハンデを背負っていることは明らかです。
この子には何の罪もないのに、背負わされた重すぎるハンデ。
今の私には、この子の幸せを心の底から祈ることしかできません。
 
この世界の「大矛盾」。
そこから目をそらすことも簡単でしょう。
だけど、中には「目をそらすことができない人たち」がいます。
私も、その一人です。
なんとか、「目をそらすことができない人たち」で協力しあって、よい知恵を出し合って、
この「大矛盾」を解体していけないものでしょうか?
 
私は、このインターネットの大海原に、これからも信号を発信し続けます。
より多くの、「目をそらすことができない人たち」に届くように。
 
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