みんな同じ生きているから

今日、一羽の鳩と出会いました。
 
私は、お客様の会社からの帰り道、
昼飯を軽くしか食べてなかったので、
ベンチに座りパンを食べようとしているところでした。
 
彼(もしかしたら彼女)はビッコをひいて、私の足下に近づいてきました。
彼の足をよく見ると、黒い糸が左足に絡まっています。
その左足は地面に下ろせず、曲げたままです。
もう一方の足だけで、ひょこひょこと移動しています。
 
とても痛ましい光景。
そんな足でどうやって生きていくんだ・・・。
 
つかの間でも、彼によい思いをして欲しくて、
私は彼に、何度もパンを小さくちぎって与えました。
 
彼は、慌ててパンに近づき、ついばみ、飲み込みます。
はたして彼が、つかの間の「幸せ」を感じているかは、彼の表情からは読み取れません。
 
しばらくして、彼が首を横に向け、左の目でじっと私の顔を凝視しました。
目が合ったと思います。
 
その時、私の心のカメラの「シャッター」がおりました。
その時の彼の眼差しが私の脳裏に焼き付いたのです。
 
皆さんにも、そんな経験がありませんか?
ある一瞬の光景が切り取られて、ずっと頭の記憶に保管されているという現象を。
 
今日、私は一羽の鳩と出会い、パンを与えました。
彼の眼差しは、私の心に強烈に残り、これからも何かのタイミングで思い出すでしょう。
そして、私は彼のことをブログに描きます。
このブログを読んで下さった方は、そして彼のことを想像するでしょう。
 
生命はつながっている、と何となく思いました。
 
手元のパンがなくなり、私は彼のところから立ち去ります。
「頑張れよ」と心の中で、彼に言葉を投げかけ、
しかし、そんな言葉では、彼の境遇には足りないと思い直し、
「悟れよ」と心の中で言い直しました。
私は別に仏教徒ではないのですが、
彼の直面している境遇に投げかけられる言葉は、それしか思い浮かばなかったのです。
 
どうか、今の理不尽な「苦しみ」が無意味なものではなく、
彼の「悟り」に役立ちますように。
この理不尽な「弱肉強食」の「世界」から、早く彼が解放されますように。