「回転寿司」が「回転」している意味

「好奇心」は人生のスパイス。
「心」が大人になって、「世界」が「灰色」になっているそこのあなた!
「好奇心」を取り戻して、「世界」を「総天然色」にしましょう。
 
さて、私には以前からずっと気になっていることがあります。
「回転寿司」の寿司は、なぜ「回転」しているのでしょうか?
 
ウィキペディアによりますと、
もともとは、大阪の立ち喰い寿司店経営者の白石義明さんが、
ビール製造のベルトコンベアをヒントに、
多数の客の注文を低コストで効率的にさばくことを目的として
「コンベヤ旋廻食事台」を考案し、
1958年、大阪府布施市(現・東大阪市)の近鉄布施駅北口に
最初の回転寿司店である「元禄寿司」を開いたそうです。
 
それまで、注文を聞いてから握る「受注生産」だった寿司屋が、
注文がありそうな寿司をあらかじめ握っておく「見込生産」になりました。
確かに、注文を聞いてから握っていては、
一人や二人の寿司職人さんでは、多くのお客さんをさばききれないでしょう。
そこで、あらかじめ見込みで握ってベルトコンベアーで流しておけば、
一人や二人の寿司職人さんでも、多くのお客様に対応できるようになりました。
 
そのお陰で、寿司の価格に上乗せされていた人件費を削減できるようになり、
高級食だった寿司が、日常的に食せる食品に変身したのです。
もともと日本人は寿司が好き。
寿司の低価格化により、昼食や夕飯として、気軽に寿司を食べる人口は増え続けました。
 
そして、回転寿司の市場規模は2002年から2005年で40%も増加。
外食不況の中で、回転寿司は順調にその数を増やしていったのです。
市場規模が拡大し、競争も激化すると、
回転寿司店では、どんどん優れた手法が編み出されていきます。
低価格で美味しい代替魚の寿司ネタ。
空になった寿司皿を回収箱に入れると自動的に何枚食べたかを計測するシステム。
そして、回収した寿司皿5枚ごとにミニゲームが始まって、当たりが出れば、
ガチャポンからキーホルダーが出てくるというお店も出てきています。
 
と言うことで、「寿司」が「回転」する最も大きな理由は「人件費の削減」でしょう。
「回転寿司」は飲食店の中で一番「原価率」が高い業種ですので、
「人件費の削減」なしには、ビジネスとして成立しません。
「回転寿司」は、全ての飲食店の中で最も工夫された効率性の高い業界なのです。
 
「寿司」が「回転」する効果は、人件費削減の他にもあります。
まずは、ディスプレイ効果。
木札に書かれたネタの名前を見ても食欲は湧きません。
そんなお店では、味を知っている「マグロ」や「ウニ」をやはり頼みたくなります。
しかし、これら定番の寿司ネタは原価率が高い。
そこで回転寿司では、
お客様の目の前に「炙りサーモン」や「サラダ系軍艦巻き」を横切らせるのです。
「たまにはこういうのもいいかな」と、ついつい手を伸ばしたくなりますよね。
味はもちろん美味しいけど、マイナー系のこれら寿司ネタは原価率が低いんです。
調べたところによると、マグロのトロの原価率が60〜70%。
対して、サラダ系軍艦巻きの原価率は20〜30%とのこと。
お客様の目の前に寿司ネタの現物を通過させてアピールすることで、
お客様に「美味しそうだ」と思わせるディスプレイ効果。
これにより、定番でない原価率の低い寿司ネタもお客様に食べて頂ける訳です。
 
また、ネタは同じ種類が続いて3枚ずつ流れていることが多い。
実はこの流れ方にも、お客様にお皿を取らせる要素が潜んでいます。
例えば、友人と2人で回転寿司に食事に来たと想像してみて下さい。
友人はあなたの右に座っています。
とその時、あるネタが右手から流れてきました。
友人が、そのネタを取ります。
もし、そのネタが1枚だけで流れていたとしたら、
そのネタが気になったとしても、あなたは食べることができません。
かと言って、職人さんに友人の食べているネタを指さして、
「これをください」と言うのもなんだか面倒くさいですよね。
だから、ネタは同じ種類が複数続けて流れている。
 
そして、3枚ずつ流れている理由はもう一つ。
「人が取ったネタは、自分も食べたくなる」ということです。
一緒に食事に来た友人や見ず知らずの隣の客が取ったネタと同じネタを取った経験が、
あなたにもありませんか?
興味ゼロでも、他者が取った物に関心を持ってしまうのは、人の悲しい性なのです。
3枚ずつ流れていれば、深く考える余裕を持たせずに、
隣の人がとったネタと同じネタを取らせることが可能になります。
 
それから、回転寿司のベルトコンベアーは必ず時計回り。
人間には「利き手」の他に「利き目」というものがあり、
多くの人は右目が「利き目」らしいのです。
だから、ネタは右から流れてくる。
 
いかがでしょうか?
回転寿司には様々な工夫が盛り込まれていることを、感じて頂けたでしょうか?
おそらく回転寿司は、最も進化した飲食店のシステムだと言えそうです。
 
そして今や回転寿司というシステムは日本を飛び出し、
イギリス、アメリカ、台湾等、世界中に広がっています。
下の写真は、イギリスで人気の「Yo! Sushi」という回転寿司チェーンのお店です。

 
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