「大人の事情」で話し合ってはいけないテーマ

トランジション・タウン」という言葉をご存じでしょうか。
聴いたことがない人も多いと思います。
 
私も、つい最近友人から教えて頂いたのですが、
最近注目を集めている言葉のようです。
 
トランジション運動」は、
2005年にイギリスの小さな街トットネスから始まり、
その後3年足らずの間にイギリス国内に広がり、そして世界中に広まっています。
もちろん日本でも2008年からいくつかの地域が活動を始め、
現在は31の地域に広がっているようです。
 
トランジション」とは、英語で「移行」を意味します。
何から何への「移行」かと言うと、
「過度に石油等の化石燃料に依存した社会経済システム」から
「自然との共生を前提とした持続可能な社会経済システム」への「移行」です。
(詳しくは、「NPO法人トランジション・ジャパン」の解説ページをどうぞ)
 
この人類全体の大きな課題について関心を持ち、
草の根の街単位でゆるく話し合いましょうという試みが
トランジション・タウン」なのです。
 
ところで最近の社会情勢は、
何かが変わりつつあることを人類に語りかけているように感じませんか?
「異常気象」「大地震」「原発事故」「世界的な景気の低迷」「先行きの見えない閉塞感」。
特に最近の「異常気象」は、心配になります。
日本であんな「竜巻」の被害が起こることは今までなかったし、
この季節にあんなに「雹」や「雷」が頻発することもなかった。
そして、この時期に「台風」が日本に接近しているとのことです。
 
「このままで大丈夫なのかな?」
何となく不安を感じます。
 
加えて、日本の場合は「原発事故」が人々の心に与えている影響も大きいでしょう。
これからも「原発」に頼るべきなのか、脱却を目指すべきなのか?
あなたは真剣に誰かと語り合ったことはありますか?
 
そんな難しいことは、政治家や官僚に任せておいたらいいんだと
考える人もいるかもしれませんが、
原発事故」の問題は、自分や家族の健康という一番身近な部分を脅かす問題です。
ですから私たち一人ひとりが、それぞれ意見を持つべき問題のように思います。
 
ただ、だからと言って、
原発反対!」とシュプレヒコールをあげる人々と行動を共にするのも
何か違うような気がする訳です。
ああいった活動には、必ず「政治的イデオロギー」が介在しています。
 
じゃあ、「原発」や「将来の地球環境」について話し合う必要があるとして、
どんな風に話し合えばよいのか?
 
私は、同じ街のご近所同士で、井戸端会議的に、子どもの顔を見ながら、
ゆるやかに話し合っていくのが、一番あるべき姿なのではないかと考えます。
 
「環境」は、とても身近な問題です。
休みをつぶして遠路はるばる集まり殺気だったデモ行進をするような話でもないし、
政治家が血走った目で政争の具にするような話でもないし、
官僚や天下り先機関の人間が自分達の損得のために決める話でもないと思います。
 
本来は、家族でご近所で、子ども達に素敵な未来を残すため、
小さな子ども達も連れてきて、井戸端会議で話すべき話題だと思う訳です。
 
そう。そこで、「トランジション・タウン」なのです。
日本では、現在31の地域が活動していますが、
今度の7月1日と2日は、鎌倉でイベントが行われるようです。
特に政治的な主張がある訳でもないので、町内会とも良好な関係を保ちつつ、
子どもも喜ぶ楽しいイベントもあるような、ゆるい集まりなのだそうです。
「途中参加・途中退出自由」「参加費無料」「予約不要」。
ゆるく集まり、ゆるくこれからの環境のことを話し合う。
親と一緒に参加したら、子ども達も環境について興味を持つかもしれません。
 
シュプレヒコールをあげずとも、
ゆるやかに真剣に将来の地球のことを話し合う人々が世界中で増えていることに、
私は頼もしさを感じます。
本来草の根とは、こういった穏やかな活動であるはずなのです。
 
「これから、私たちはどういった生き方を目指すべきか?」
是非、ゆるやかに穏やかに一緒に考えていきましょう。
「私たちが子ども達に託す未来の環境」というテーマは、、
「政治的イデオロギー」や「利権」のような「大人の事情」ではなく、
「子どもの事情」で話し合われるべき最も大切なテーマなのです。
 
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