「天国」は、お好きですか?

あなたは、「天国」とはどのような場所だと考えますか?
 
実はこの質問、人によって答えは結構バラバラになるようです。
なぜならこの質問は、その人の価値観を浮き彫りにするから。
 
逆に「地獄」については、考えることが皆一緒のようです。
「痛み」「熱さ」「極寒」「飢え」「身の毛のよだつ化け物に尊厳を踏みにじられる世界」
どんな宗教でも、だいたいこんなところが「地獄」としてガイドされていますね。
これは、今まで生きてきて辛かったことの詰め合わせが、
何倍にもなってエンドレスに引き起こされるイメージなのだと思います。
 
対して、「天国」は宗教間でもバラエティに富んでいます。
例えば、ウィキペディアを見ますと、
キリスト教では、神の愛と至福から成る超自然的な幸福の場。
イスラム教では、「天国」とは、決して悪酔いすることのない酒や果物、肉などを
好きなだけ楽しむことができる場所なのだそうです。
また、イスラム教の「天国」では男性は72人の処女と関係を持つことができるとのこと。
(女性には、原罪があり「天国」に行けないのだそうです)
そして、仏教の「極楽」では、衣服や飯食は人々の意のままに得ることができ、
寒からず暑からず、気候は調和し、本当に住み心地のよいところとのことです。
極楽浄土には一切の苦はなく、ただ楽のみがあるとされています。
 
このように宗教によって様相が異なる「天国」の姿。
どうでしょう?
最後にご褒美として行ける「天国」の好みで、入信する宗教を決めるというのは(笑)
 
さて、冒頭と同じ質問を繰り返します。
あなたは、「天国」とはどのような場所だと考えますか?
 
「考えたこともない」という人は、是非この機会にじっくり考えてみて下さい。
それは、あなたがこの「世界」で目指す環境に他ならないのですから。
 
例えば、「苦しみ」が一切ない「安楽」のみの「世界」を志向しますか?
そんな「世界」は、「刺激」がなくて嫌ですか?
それでは、仲のよい「家族」や「仲間」と「苦楽」を共にするような「世界」を志向しますか?
まあ、そういう「世界」なら、生きているこの「世界」で頑張れば実現できそうですね。
それとも、「酒池肉林」の「快楽」に溺れますか?
はたまた、「お金」のような安全を保証するものをたくさん持って、
持たざる者を見て「安心」する境遇を志向しますか?
どこの宗教だったかは忘れてしまいましたが、
実際に「地獄」の亡者を安全な場所から眺めるのが「天国」であるという宗教もあるようです。
 
私は個人的には、ただただ「安楽」の世界は、退屈で仕方ないと考えてしまいます。
それは、「生きている」と言えるのか?と。
まあ、「天国」の話ですから「生きている」必要はないのかもしれませんが(笑)。
 
さて私は、こんな「世界」があったら「天国」だなぁと考えます。
自身に全知全能の力が宿り、「苦し」んでいる人々を、
自身の力でどんどん救っていく「世界」。
理不尽な「苦しみ」を受ける「地獄」のような場所があるのなら、
そこの門番を蹴散らして「苦し」んでいる人々を救いたいです。
 
用意された場所に、居心地悪く漫然と居続けるよりは、
自分の意思と力で、やりたいことをやっていきたいなと思います。
 
私は、自分がもし死んだら、
まずはロダンの「考える人」のように、じっと「地獄」を見つめたいと考えています。
※自分が「地獄」に落ちないことが前提ですが(笑)
本当に、その「地獄」という場所は正しい場所なのか、じっと考えてみたいのです。
 
「地獄」が正しい場所でないのなら、きっと「天国」だって正しい場所ではないのだから。

 
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