「時間欲」

ある時、ふと思いました。
「物欲」という言葉があるのに、「時間欲」という言葉は聞かないなと。
 
試しにネットで検索してみました。
そしたら見事にヒットしないのです。
 
もしかしたら「時間欲」という言葉は、
この瞬間自分によってネット上に生み出されたのかもしれません!
 
「時間欲」の定義は、「物欲」と同様に、
「時間」に飢えた状態のことです。
「時間」を欲しい人はたくさんいる訳で、立派に成立する「言葉」だと思います。
 
ちなみに「物欲」の定義は、デジタル大辞泉によると、

物や金銭を自分のものにしたいという欲望。物や財産への執着心。

です。
 
これを時間に置き換えると、

時間を自分のものにしたいという欲望。時間への執着心。

ということになります。
 
「時間を自分のものにする」というのは、ちょっと変な感じですが、
「時間への執着心」というのは、普通にしっくり来る概念ですね。
(追記:後から考えたら、「時間を自分のものにする」もとてもしっくり来る表現です)
 
ちまたで使われている「欲」には、様々なものがあります。
「欲」についてよく使われるフレームワークが、「マズロー欲求段階説」です。
ウィキペディアは、こちら
 
この説よれば、人間の欲求は以下の5段階に分類されます。

  1. 生理的欲求(Physiological needs)
  2. 安全の欲求(Safety needs)
  3. 所属と愛の欲求(Social needs / Love and belonging)
  4. 承認(尊重)の欲求(Esteem)
  5. 自己実現の欲求(Self-actualization)

 
生理的欲求が一番低次で、自己実現の欲求がこの中では一番高次です。
マズローは、低次の欲求を満たすと初めて一つ上の欲求を感じるようになるとしました。
例えば、紛争国家で身の安全を確保できないときには、
所属と愛の欲求以上の欲は感じないという訳です。
(ちなみに私は、自己実現欲求だけは段階を踏まずに持つことができると考えています)
 
この中で一番高次なのが自己実現欲求となっている通り、
マズローは「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生きものである」と仮定しています。
 
さて、「時間欲求」はどこに属する欲求になるでしょうか?
これは、一番高次の「自己実現の欲求」になると思います。
 
上記の5つの欲求を観ると、「自己実現欲求」以外は全て外部に対する欲求となっています。
「外部にこうして欲しい」という欲求です。
 
しかし「自己実現欲求」だけは、
「自分がこうしたい」「自分をこう変えたい」という風に、視点が切り替わります。
 
「時間欲求」も然り(しかり)です。
 
他者と「時間」のやり取りができない以上、
「時間」に介入できるのは、自分だけとなります。
そうすると、他者や外部に「欲求」の視点が行っているときには、
「時間」に対する欲求は生じないのではないでしょうか。
 
「自分を変えたい」
 
そう思った時点から、「時間欲」は生まれるのです。