「哲学盲」の日本社会

「文盲」という言葉をご存知ですか?
今の日本社会では、限りなくゼロに近いですが、
文章の読み書きができない人のことを指します。
もちろん「文盲」の人でも、口頭での会話は可能です。
しかし、読み書きができないということは、
新聞も読めないし、第一教科書が読めません。
文章の読み書きができる人口の率を識字率といいますが、
識字率の低い国では、人々への教育が十分にできず、
社会に貧困が発生する大きな要因になっているのです。
それに「文盲」の人は、就業にも大きなハンデを背負います。
この情報化社会の世の中で、
文章が読めなくてもできる仕事は、それほど多くないようです。
 
ウィキペディアで、世界の識字率がわかります。
上記によると、日本は99.8%です。
一方、パキスタンバングラディシュでは41%台、
アフリカのニジェールでは17%となっています。
 
上記の数字を見てわかるように、
文章の読み書きができることが「当たり前」ではないのです。
 
上述したように、識字率の低さは貧困の大きな要因となりますので、
様々なボランティア団体が、識字率の低い国々で教育のプロジェクトを立ち上げています。
 
以前私がブログで紹介した「ルーム・トゥ・リード」という組織もそうです。
教育や読書は、貧困から脱却するチャンスを途上国の人々に与えるというポリシーの下、
世界の国々で子どもへの奨学金や、学校・図書館の設立を続けています。
 
この組織の創設者は、
マイクロソフト社で国際部門の要職についていたジョン・ウッドという方です。
このようにビジネスに非常に通じた方が設立した「リード・トゥ・ルーム」では、
ビジネスライクなスマートな分析と手法で、世界の貧困を解消しようとしています。
ですから例えば、いかに社会活動に関心がある層から寄付金を集めるかということに、
マーケティングの手法を活用して取り組んでいる訳です。
 
また、「ルーム・トゥ・リード」の名前からわかるように、
世界の貧困の要因を「識字率」と判断し、
そこにピンポイントに全力投球をしています。
そして彼らは、「識字率」を向上させるために、
将来母親となる女性を教育することが一番だと考えたのです。
女性は母親となった時、子どもに読み書きを教える立場にいます。
ですから、一度撒いた種が次代に伝播しやすいという効果を狙えるのです。
 
このような理由から、この組織では女子に特化した奨学金を行っています。
普通の社会では、教育は男子に受けさせるものという意識がありますし、
「女性だけに奨学金とは、男女平等に反する」という声もあがりそうです。
そういった「常識」から離れて、
科学的考察によって世界から貧困を撲滅しようとする彼らの活動に
多くの賛同者が集まっています。
もし彼らについて、もう少し知りたくなったら、
是非私の過去ブログを読んでみてください。
もう少し、彼らの活動のことがわかります。
また「ルーム・トゥ・リード」のホームページも、是非ご覧になってください。
今はネパールの大震災に対する活動を積極的に行っていらっしゃるようです。
 
さて、「識字率」の高い我が日本ですが、
もちろん「識字率」だけでは、社会は「幸せ」になれません。
前々から私が提唱していることですが、
もっと個々人が、個人の価値観という「モノサシ」を持つことが、
社会の「幸せ」につながると私は真剣に考えているのです。
日本社会には、「幸せ」につながると言われる「敷かれたレール」がありますが、
その「レール」だけ見つめて歩けばいい訳ではないことは、
あなたもよく承知のことと思います。
 
例えば、就職活動を失敗して自殺する若者の存在をご存知ですか?
そして、どのくらいの人数そういった若者がいると予測されますか?
警察庁の統計では、「就職失敗」による10〜20代の自殺者数は
平成19年の60人から23年は150人にまで増加しているそうです。
 
自殺した各人、様々な想いがあると思います。
しかし、「就職失敗」が原因だとしたら、
社会が用意した目の前の「レール」から外れてしまったことを
気に病んでいたことは確かです。
 
実際に社会に出てみればわかりますが、
社会が用意したそんなレールなんて、幻想以外の何者でもありません。
実際には、自分がどう考え、自分がどう行動するか、ということが大事なのです。
 
自分の「価値」は、社会が生み出すとお考えですか?
違います。自分の価値は、自分が生み出すものなのです。
社会や就職活動先の面接官は、あなたのことなんてこれっぽっちも知りませんから。
 
就職活動に失敗して自分には価値がないと本気で考えている若者がいたら、
私が説教に行きたいくらいです。
ただ本当は、そういったことを教えるのは
社会を深く経験しているその若者のお父さんの役割だと思っています。
 
ですから、世のお父さん達に真剣に訴えたいです。
「自分で疑い、考察する」という「哲学的姿勢」の価値を。
いい学校に進学していい会社に入ることよりも、もっと重要なことがあります。
お子さんの「人生」に本当の「幸せ」を提供できるものは何か?
このゴールデンウイークを使って、少し考えてみるのはいかがでしょうか。
 
「ルーム・トゥ・リード」では、「識字率」向上のためには、
女子への教育が一番効果的と判断しました。
上述したように、女子は母親になって自分の子どもに字を教えることができるからです。
 
そして、個々人を「幸せ」にする「哲学力」の向上には、
子どもを抱えるご両親に気づきを持っていただくことが一番だと、私は考えています。
特に、お父さんにです。
 
日本は江戸時代から「識字率」が高く、当時世界最高の識字率を誇っていました。
この「識字率」の高さの原因の一つは、日本各地にあった「寺子屋」の存在です。
 
私は定年退職したら、「哲学カフェ」みたいなことをやりたいと考えています。
そこで当時の「寺子屋」のように、
来店して頂く方々に「哲学力」を提案・提供したいなと考えている次第です。
 
微力ながら日本の「哲学力」向上に尽力して、
日本を「幸せ」大国にしていきたいなと想っています。
 
高齢化が懸念される日本ですが、
歳を重ねて出せる「大人の価値」というものもあるのではないでしょうか?
そういう意味では、日本の「幸せ」大国化の土壌は整いつつあります。
是非、草の根の高齢者の方が、日本に「幸せ」をもたらすパワーを生み出して欲しいです。
モノは有限なので、「奪う奪われる」の関係になってしまいますが、
「情報」や「知恵」は無限に与えることができます。
日本の65歳以上の高齢者の人口は、平成26年9月15日現在で3,296万人です。
「三人寄れば文殊の知恵」と言われますが、
3,296万人分の「知恵」が集まれば、
個々人を「幸せ」にできる「知恵」なんて簡単に出てくると思います。
是非この情報化社会、様々な「知恵」が集積・整理・集約されて、
人々の社会が新たなステージに向かう推進力となることを強く望む次第です。
 
引き続き私は、ここで「幸せ」の「考察」を発信し続けます。
バタフライ・エフェクトで多くの人々が連動し、「世界」の変化が起こる可能性を信じて。
バタフライ・エフェクトに関する過去ブログは、こちら
 
ダライラマ14世は、言いました。
「どんな大きな流れも、きっかけは一人の小さな行動から生まれます。
 もしあなたが「自分には大したことなど出来ない」と思ってしまったら、
 それは世界にとって大きな損失となるのです。」
 
私は真剣に、「世界」を「幸せ」にすることを考え続けます。