人間以外に農耕と牧畜を営む生き物がいます


 
我々人間以外に、農耕や牧畜を営む生き物がいることをご存知でしょうか?
 
その生き物の名前は、ハキリアリ。
彼らは、上の写真にもあるとおり葉を顎で切り取ってせっせと巣穴に運び込みます。
何のために葉を巣穴に運び込むかというと、
アリタケというキノコを栽培する苗床とするためなのです。
アリタケは、ハキリアリの巣穴以外では見つかりません。
つまり、アリタケというキノコは完全にハキリアリの作物であり、
野生のアリタケは全くこの世界に存在しないのです。
ハキリアリはアリタケを育てて、アリタケの胞子から糖分を摂取します。
巣穴に空気穴を作って、しっかり温度や湿気の調整までしているというから驚きです。
 
また、ハキリアリは巣の中でアブラムシを育てています。
アブラムシから分泌される甘い汁は、ハキリアリ達の大好物であり、
この甘い汁を獲得するため、ハキリアリ達はアブラムシの卵を巣で飼育しているのです。
 
すごいと思いませんか?このハキリアリ。
彼らは中南米で普通に見ることができるアリです。
以下の動画で彼らの仕事っぷりを見ることができますが、
葉っぱをせっせと巣に運ぶ姿はなんだか愛嬌があります。
 

 
アリなんて人間と比べたら、考える脳もないような機械のような存在です。
それなのに、こんなすごい生産システムを創り上げていることに本当に感嘆します。
一体、誰がこんな生産システムを考えたんでしょうね?
アリ自身が発明した訳ではなさそうなので、
生命が38億年の進化の中で獲得した遺伝的行動様式なのでしょうか。
 
ダーウィン進化論では、
進化とは偶然の突然変異と自然淘汰によって発生するものであるとされています。
例えばキリンの首が長いのは、たまたま首の長いキリンが突然変異で現れ、
その長い首は、高い木の葉を食べるのに有利であったため、
他の首の短いキリンが自然淘汰でいなくなった後も、
首の長いキリンのほうは現在も子孫を残せているのだという具合に説明される訳です。
 
しかし、このハキリアリの複雑で洗練された営みが
単なる偶然の積み重ねによって実施されるようになったとは、
にわかに信じ難いような気もします。
 
とは言え、私はキリスト教徒ではないので、
「神が、この働き者の賢いアリを創り給うたのだ!」と言う気にもなれず、
生物たちが見せてくれる驚嘆するような能力や生き方に、
私のハートは、子供の頃からずっと魅了されっぱなしなのです。