ココはドコ?ワタシはダレ?

昔のドラマや漫画のシチュエーションで、
頭を打ったりして記憶喪失になった人は、決まってこのセリフを言います。
「ココはドコ?ワタシはダレ?」
 
そして、漫画とかだと頭にもう一度同じような衝撃を与えると、
記憶を取り戻すなんてシチュエーションもあったりしますよね。
 
まあ、実際に一過性健忘症という症状はあるそうですが、
自分の名前まで覚えていないような状況は、あまりないみたいです。
興味あるかたはこちらの記事をどうぞ。
 
ところで、あなたはこの「ココはドコ?ワタシはダレ?」に答えられますか?
答えられるに決まっているじゃんと言う方も多いでしょう。
最初の質問には今いる場所の地名を、
次の質問にはあなたの名前を答えればいい訳ですしね。
 
ふむふむ、今いる場所やあなたの名前を言えば、この質問に答えられると・・・。
じゃあ、少し考察を進めたいと思います。
 
あなたがUFOに連れ去られ、気づいた時には訳の分からない世界にいたとしたら?
あなたの名前は実は嘘の名前で、
そもそもあなたは、ある研究室で創られた人間でもなんでもない存在だとしたら?
 
「ココはドコ?ワタシはダレ?」
 
 
実は、この質問に対する正解を示すことは非常に難しいのです。
名前を言えば正解だと思うかもしれませんが、
名前は単にその事象自体に誰かが貼り付けたラベルに過ぎず、
それを真の正解とすることはできません。
 
例えば「ココは東京です」と答えたときに、
「東京とはドコですか?」と聞かれたらどう答えますか?
「東京とはココのことです」とでも答えますか?
それから、あなたの名前だって単に親が付けたもの。
その名前は、本当にあなた自身を指し示す言葉なのでしょうか?
 
そうなのです。単に名前を答えたって、それは真の答えにはなり得ない。
 
じゃあ、どうしたらちゃんと答えられるのか?
そのためには、まず2つのことを説明するところから始まります。
すなわち、「世界」とは何か?「自分」とは何か?
「世界」とは何か、きちんと答えられれば、
その答えを土台にしてココはドコか答えることができます。
「自分」とは何か、きちんと答えることができれば、
ワタシが何者なのか、単なる名前ではなく本質を答えることができるでしょう。
 
実は有史以前から、人々はこの二つの問いをずっと考え続けてきました。
聖書にはこう書かれています。
「世界は神が7日間で創った」「人間は神に似せられて創られた」
仏教では、悟ると「私とは何か」「世界とは何か」という問いの答えがわかるとのこと。
また、哲学者デカルトは言いました。「我思うゆえに我あり」
(自分という意識があるのは疑いようがないけど、
 世界は意識が単に認識しているだけで本当はそんなものあるかどうかわからないよという意味)
 
そう、「ココはドコ?ワタシはダレ?」という質問は、
人類がずっと問い続けてきた永遠の質問なのです。
もしかしたら、人類全体が記憶喪失の状態なのかもしれませんね(笑)