「とどのつまり」の出世魚


 
「とどのつまり」
この言葉、聞いたり読んだりしたことがありますか?

Yahoo辞書によると、
「いきつくところ。結局。多く、思わしくない結果である場合に用いる。」とのことです。
使い方は、「とどのつまり、パーティーは延期になったよ」とかです。
 
さて、この「とど」とは何なのか?
 
私はずっと、あのアシカのでかいヤツだと思っていました。
トドが喉を詰まらせたときに、あげる鳴き声があり、
その鳴き声があまりにも悲しげなので、
漁師が悪い結果になることを「トドのつまり」と呼んでいたのではないか?
幼い頃の私は、そのような推理をしていました。
 
しかし、この推理はハズレ。
実は、この「とど」とはコレのことだったのです。

 
上の写真の魚はボラです。
実はボラは出世魚で、成長に応じて名前が変わります。
小さい順から、
オボコ→イナッコ→スバシリ→イナ→ボラ→トド
という風に出世していくのです。
ボラの中でも40〜50cm以上に成長した個体をトドと呼びます。
 
つまり、ボラが最後にはトドになることから、
「行き着くところは」的な意味に使われるようになった訳です。
 
ちなみに「いなせ」とう言葉がありますが、
この言葉は、「威勢よくさっぱりした気っ風の若者」のことを言います。
魚河岸の若者が、ボラの若魚であるイナの背のように髪を結んだことからくるそうです。
(引用元:市場魚介類図鑑
 
今は、ボラが食卓に乗ることも少なくなりましたが、
昭和の初期までは高級な食用魚でした。
養殖なども行われていたようです。
こんなに別名や、そこから派生した言葉があるということは、
ボラは、昔から人々に親しまれていた身近な魚だったんでしょうね。
 
高度成長期の河川の汚染で、川でとれるボラの身が臭くなってしまい、
とどのつまり、今では食用にされることが少なくなってしまいました。