「経営理念」は「敬天愛人」

このブログでは、
経営学」をベースに、
人の生き方の指針を考察できないか模索中です。
 
さて、先日のブログ
会社にとって最初に決めるべき重要な概念である「経営理念」のお話しをしました。
そして、「経営学」を人の生き方に準用するなら、
人も「経営理念」にあたるものを持つことが、
迷いなく揺らぎなく人生を生きるために必要であるという話しをしました。
 
で、この個人の「経営理念」として、
私は「敬天愛人」という西郷隆盛さんの言葉をお借りしたいなと考えています。
 
この「敬天愛人」、京セラが社是としていることを始め、
多くの企業が「経営理念」として取り入れている言葉です。
 
敬天愛人」とは、天を敬い人を愛すること。
この言葉について詳しくは、コチラをどうぞ。
 
西郷隆盛さんは天命というものを非常に大切にされました。
若いときには自殺を図ろうとしたこともある西郷さんですが、
その時に一命をとりとめ、以来、人には皆それぞれ「天命」があると信じ、
その「天命」のために生きることを誓ったそうです。
 
そして、天は自分も含め平等に人を愛してくれている。
だから、天命に従う自分も天と同様に人を愛そうと考えました。
 
西郷さんの遺訓に以下のような言葉があります。
「人は天命というものを天から与えられ、それに従い生きているのである」
「道は天地自然の物にして、人はこれを行うものなれば、天を敬するを目的とす。
 天は我も同一に愛し給ふゆえ、我を愛する心を以て人を愛する也。」
 
人を愛する西郷さんは、戊辰戦争で敵方であった庄内藩士にも、大変慕われていました。
新政府軍に敗れた庄内藩士らは、厳格な処罰が下ることを覚悟していたのですが、
西郷さんの指示により極めて寛大な処置がなされ、そのことに非常に感激したそうです。
明治の時代に入り、西郷さんを訪ね教えを請う庄内藩士がいた程です。
西南戦争の際には、庄内藩からの留学生2名が薩軍に参戦し戦死しました。
 
西郷さんは、日本史上最も清廉誠実な英雄であり、仁愛の人であったと言われています。
 
私は、自分の「経営理念」を「敬天愛人」にしたいと思います。
人は尊大であってはならない。というか、尊大や不遜には私は生理的な嫌悪を感じます。
自分が、尊大にならないようにするには、自分より上のものを常に認識する必要があります。
つまり、何かに忠誠を誓うのです。
 
この忠誠を誓う相手。
人のような相対的で不完全なものにしてしまっては、自身が翻弄され疲弊するだけです。
忠誠を誓う相手は、絶対的で完全なものにしないといけません。
すなわち、形而上学的な実体のない概念でなくてはならないということです。
 
西郷さんの言う「天」。プラトンの言う「イデア」。
それから、「真善美」。他にも、宗教の「神」。「武士道」。
 
私は「真善美」に忠誠を誓おうと思います。
 
そして、全ての人には天命があると考えます。
もちろん私にも天命はあります。
私の成すべきことは、「真善美」に忠誠を近い「天命」を全うすることです。
 
そして、不完全な存在を愛する。
「天」が、絶対的で完全なものであるとすれば、
この世界の全てのものは、相対的で不完全です。
まず、「私」。それから「人」「社会」「世界」。これらは全て不完全。
「天」に忠誠を誓うのに対し、不完全なものには愛することで対処します。
先ほども書きましたが、不完全なものに忠誠を誓ったら疲弊するだけ。
不完全なものは忠誠を誓う対象ではなく、愛する対象なのです。
「私」を愛し、「人」を愛し、「社会」を愛し、「世界」を愛する。
 
西郷さんは、どのような人にも「天命」が与えられていると言いました。
きっと、私のような者にも「天命」があるはずです。
「真善美」に忠誠を誓い、全ての人を愛していきたいなと思います。
 
この「経営理念」を基に生きれば、この人生で大きなものをつかめそうな気がします。