「一人旅」から「人生」を「考察」する

「一人旅」をしたことがありますか?
私は、先日のブログで紹介したように、
熊野古道を歩いたり、結構日本各地を「旅」しています。
 
もちろん、複数人での「旅行」をしたこともあります。
ただ、複数人の「旅行」は、
参加者達の希望の最大公約数で動くものです。
行くところも有名どころだけだし、
じっくり見たいものも見られないので、
「旅」をしたという実感は湧きません。
 
私の中では、「一人旅」が「旅」で、「複数人旅」は「旅行」です。
 
昔、JTBの入社試験で、
「人はなぜ旅をするのですか?」というような質問があったそうです。
答えがパッと思い浮かびますか?
意外に難しいですよね?
 
私も、この入社試験の話を聞いた時に、すぐに答えは出ませんでした。
でも、今は答えを持っているので、ちょっと描いてみたいと思います。
 
まず、「複数人旅」と「一人旅」を分けます。
 
「複数人旅」の目的は、参加者同士の交流でしょう。
参加者と同じ時間を共有する。そして思い出を作る。
いつまでも続くであろう平坦な「日常」
その「日常」を抜け出して、
「複数人旅」は「大切な仲間達」と「楽しい時間」を共有し、
自分達の人生という川に、「キラキラとした思い出」を流す。
「灯籠流し」のように、何の変哲もない川が、その時ばかりは幻想的に輝きます。
 
江戸時代の庶民の「旅」と言えば、「お伊勢参り」。
当時は「お伊勢講」という仕組みがあり、
参加者全員でお金を集めて、くじ引きで当選した2〜3人が、
集めたお金で「お伊勢参り」を行ったそうです。
それだけ、当時の庶民は「お伊勢参り」には強いあこがれを持っていました。
おそらく現代よりも、娯楽や刺激のない平坦な「日常」
平坦な「日常」から抜け出して、人生に一度「旅」をする。
自分の人生を、平坦な「日常」だけで終わらせたくないという切なる「願い」。
江戸時代の庶民の人達の「旅」への情熱は、
そういったところにあったのではないかと思います。
 
「旅」をする動物は、人間だけなのだそうです。
「自分の人生」という概念を認識できるようになると、
「旅」に出たくなるのかもしれませんね。
「旅」に出たいという衝動は、「本能」を超えた「心」の「願い」です。
 
すみません。話が脱線しています。
次は、「一人旅」の目的です。
よく、海外の国を自転車で横断してきた人の話がネットで掲載されたりしています。
行く先々の写真が掲載されていたり、
現地で出会った人達との心の交流が紹介されていたり。
自分も行ってみたいなぁという想いに駆られます。
私や多くの人は、こういったネット上の旅行記にどのような魅力を感じているのでしょうか。
 
一つは、上記で既に挙げている、
「自分の人生」を「日常」だけで終わらせたくないという気持ち。
しかし、それ以外の魅力も「一人旅」は持っています。
まず、「与える人」との出会いです。
「複数人旅」と比べて、
「一人旅」で行われる会話は全て現地の方々との会話になります。
その中で、「与える人」に出会った時の会話は、「一人旅」の楽しみです。
ほんわか温かい感情を伴って、大切な思い出となります。
私も、熊野古道を歩いて泊まった民宿の老ご夫婦には、とてもよくして頂けました。
今でも、熊野古道の一人旅を思い出す時には、老ご夫婦のことも一緒に思い出されます。
熊野古道の過去ブログはこちら
 
もう一つ、「一人旅」の目的として大きいのは、「自分との対話」です。
様々な風景や人間と出会いながら、「自分との対話」を行う。
「日常ではない異質な体験」と「自分に向き合う豊富な時間」を材料にして、
「心」が成長する。
それから、日常で締め付けられていた「心」が緩みます。
「心」が緩むと、いろんなことが「心」に浮かんでくるのです。
私の経験で言いますと、「心」は「大自然」と接する時により自由になります。
 
さて、長くなりましたが、
「人はなぜ旅をするのか?」という問いに対する私なりの回答が出そろいました。
以下の3つです。
(1)「自分の人生」を「日常」だけで終わらせたくないという想い
(2)「与える人」と出会うこと(一人旅限定)
(3)「自分との対話」「心の成長」(一人旅限定)
 
ところで、「一人旅」をしていると、
「人生」も「一人旅」だよなという想いを持つようになります。
そして、「人生」を「一人旅」と捉えると、「心」の肩の力が抜けるのです。
日常の生活で、ずっしりとのしかかる「仕事」「義務」「責任」。
これらが、ちっぽけなものに見えてくるのです。
また、「人生」が「一人旅」であると感じた時、
この「人生」の「主人公」があくまで「自分」であることを
再認識できるようになります。
 
「一人旅」を楽しめる人は、「人生」もうまく楽しめる。
そして、「人生」を「一人旅」と認識すると、「人生」の「意味」も見えてきます。
「一人旅」の醍醐味は、「自分との対話」「心の成長」、そして「与える人との出会い」。
これらがあれば、「人生」という「一人旅」も、
楽しい旅路にすることができるはずです。
 
「奪う人との出会い」は、「一人旅」で言えば単なる悪路のようなもの。
「自分との対話」や「心の成長」の糧にします。
「人生」において重要な「出会い」は、「与える人との出会い」のみです。
私たちは、「与える人と出会う」ために「人生」という旅路を歩いています。
あなたは、今まで何人の「与える人」に出会いましたか?
せっかく「旅」をしているのです。
その場に踏みとどまらず、意識的に歩き回って「与える人」との出会いを楽しみましょう。
そして、人生の転機をもたらしてくれる存在は2つだけ。
「自分」と「与える人」だけなのです。
 
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