最高の「会社」とは?(その1)

とある事情で、最高の「組織」とはどんなものか考察することになりました。
具体的には、「会社」という「組織」のことです。
 
まず最高の「会社」とは、どのような条件をクリアすればよいのか考えてみます。
実は、これはちょっと難しい問いかけなのかもしれません。
なぜなら、個人の「幸せ」を考えるのと同様の「深さ」があるような気がするから。
 
そして、もしそうだとした場合、
単に「お金」をたくさん稼げるから最高な「会社」と言えるものでもありません。
もちろん、理不尽な「弱肉強食」というルールを強いられているこの「世界」において、
「生きていく」だけの「強さ」は必要です。
「会社」という「組織」であるならば、
まずは最低限生活できる「稼ぎ」を創り出す力が必要となります。
だから、「会社」に参加する社員(もちろん経営者や役員も)は、
「稼ぎ」をするためにここにいるんだという意識を持ち続けなければいけません。
それは、スタッフ部門でも同様です。
どうしたら、「会社」が稼げるようになるのか?
常に考え続け議論する組織である必要があります。
戦国時代の鉄砲隊で例えると、例え今は「稼ぐ」力が弱くても、
常に「稼ぎ」に向かって火縄銃を「構え」続ける必要があります。
それは「会社」の皆のためでもあり、自身の「成長」のためでもある訳です。
うまく「撃てる」同僚を尻目に、
今は力が弱い人はどんなに恥ずかしくても「構え」続ける必要があります。
もしくは、その人が転職してもっと自分にあった部隊に移るかです。
ただ、ここでは理想の「会社」を模索しているので、
そういった今は「力」なき人達も、
自身の「成長」を信じ自信を持って「構え」続けられる「会社」というものを考えていきます。
 
さて、もし「稼ぎ」だけが最高の「会社」の要件であるのなら、ことは簡単です。
理想は、力ある「スター選手」を集めること。
稼げない「社員」は出て行け!
ただ、現実には「スター選手」が集まらない。
だから、仕方ないから稼げない「社員」も使ってやる。
 
ある程度、誇張して書きましたが、現実にこんな会社はたくさんあるでしょう。
こっちは給料を払ってるんだぞ!って会社。
 
じゃあ、このような組織に「スター選手」は、
「おお、ここで働きたい!」と思うでしょうか?
私は、こう考えます。
高額の報酬を用意すれば、「お金」を価値観とする人達は集まるでしょう。
しかしそれ以外の価値観を有する「スター選手」は、集まらないと思います。
 
以下は、私の愛読書である「共感の時代へ(フランス・ドゥ・ヴァール著)」からの引用です。
この書籍は、「この世界とは?」「人生とは?」と考え続ける方にはお勧めの本だと思います。
 
かつて巨額の粉飾決算を行ったアメリカのエネルギー会社、エンロン
ここのCEOは、リチャード・ドーキンスの「利己的遺伝子」の考え方に心酔し、
社員同士に徹底的な「弱肉強食」を演じさせました。
彼は、「1」から「5」までの5段階評価で従業員をランク付けし、
最低の評価をもらった者を毎年クビにしていたのです。
実に、毎年最大2割の社員が解雇されました。
それも、彼らの顔写真を掲載したウェブサイトで彼らを辱めた上でのことです。
顔写真を掲載された社員は、会社から「シベリア送り」と評されました。
二週間以内に社内で別の仕事を見つけないと、お払い箱にされる仕組みだったのです。
「人間には強欲と恐れという二つの基本的な衝動しかない」というのが、
このエンロンという「会社」の哲学でありました。
 
さて、結果としてどんな「会社」ができあがったかはご存じの通り。
社内だけでなく、社会に対しても見事な「弱肉強食」ぶりを示しました。
史上最大規模の世界を揺るがす粉飾決算
「強さ=稼ぎ」のみを追求した会社は、
「社会の法」という外敵に駆逐されるまで、
己のみを見つめて自身の「稼ぎ」を増殖させていきました。
また、エンロンの「稼ぎ」とはどんなものであったかと言うと、
例えば、革新的なやり方を編み出してエネルギー市場を操作し、
人為的な電力不足を生み、価格を高騰させるようなものでした。
その結果、ついにはアメリカのカリフォルニア州では輪番停電を余儀なくされました。
人工呼吸装置を使っている「弱者」のことなどお構いなしです。
ある意味、この会社は死して大きな教訓を人類に残してくれました。
 
「稼ぎ」のみを念頭に「スター選手」を集めた結果、
このような迷惑な組織ができあがってしまった訳です。
このように見ていくと理想の「会社」には、
「稼ぎ」を創り出す力の他にも必須な要素があるように思います。
 
私は、ここまで考察を続けて、ある2つの組織の対比を頭に浮かべました。
それは、お金にものを言わせて「スター選手」をとり続けた巨人軍と、
野村監督の野村再生工場の対比です。
次回のブログ記事では、
野村監督の価値観や手法から、理想の会社に必要な要素について考察を深めたいと思います。
 
今日の結論は、この「弱肉強食」の世界に存在してしまった以上、
「会社」のメンバーは「稼ぐ」意志を持ち続ける必要があるということが1つ。
でも、それだけではない!ということも、併せて主張します。
最高の「会社」とはどんなものなのか?
それは、そんな単純に片付けられる話ではないのです。
次回も考察を深めていきます。
 
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