「中小企業」にあって「大企業」にないもの

私はもともと「大企業」にいましたが、レールを外れて、
今は「中小企業」のコンサルティングをしています。
 
今日は、両方のタイプの企業を体験した私の目から見て、
「中小企業」にあって「大企業」にないものについて、描いていこうと思う次第です。
 
さてその前に、「大企業」にあって「中小企業」にないものを考えたいと思います。
一般的には、
「高給」「大企業勤めというステータス」「充実した福利厚生」「大きな仕事ができる」という
ところでしょうか。
一方「中小企業」には「大企業」に勝るものが何一つ存在しないと、
学生の頃の私は考えていました。
大企業の「高給」とか「ステータス」とか、当時とても魅力的でしたね。
自分をこういうもので飾ることができれば、
周りにいい顔ができるし、異性にももてるかもしれない。
今から考えると当時の私の脳は「1ビット」でしたね。
「勝ち組」に入るか「負け組」に入るかの二者択一。
まさに「ゼロ」か「1」かの世界です。
私は学生の頃は何の夢も持たず、ただただ漠然と大企業に憧れていました。
 
ちっぽけな自分が大企業に入ることで、大きな存在になれるという淡い期待。
大企業に入っていれば、こんな自分でも立派になっていくだろうという甘い気持ち。
 
こんな考えで会社勤めをしていれば、
「自分は何のために働いているのだろう」という疑問に必ずぶつかります。
だって、その会社で働こうとして入社したんじゃないんですから。
その会社に所属したくて入社したんですから。
 
だけど今はわかりますよ。何のために「働く」のか。
「社会」に「貢献」するためです。
こんなちっぽけな自分でも「社会」に「貢献」をしているという「実感」があれば、
どんなに忙しくても納得して「働く」ことができます。
 
この「社会」に「貢献」しているという「実感」を持てる環境は、結構重要です。
なぜなら、「社会」から「貢献」の見返りとしての「信」を受け取ることで、
「自分は何のために働いているのか」という「本質」がわかりますから。
 
さて実は、この「働く」ことの「本質」。
「大企業」よりも「中小企業」の方が「実感」しやすいことがわかりますか?
「大企業」は「中小企業」よりも分業されすぎて、
「自分」と「社会」というつながりを感じにくい訳です。
一方「中小企業」は、人数が少ない分「社会」への「露出」の機会が多い。
結果として、働くことの意義を実感しやすいのです。
 
これが、「中小企業」にあって「大企業」にないものの一つ目になります。
はっきり言って、「働く」という行為への気づきは圧倒的に「中小企業」の方が多いはず。
「大企業」では、「働く」ことの「本質」を理解していない上司も多々存在するため、
「社会」のための「仕事」でなく、「会社」や「上司」のための「仕事」をやるはめになり、
「働く」ことに「息苦しさ」を感じ多大な「ストレス」を抱え込むことになります。
 
この話を描いていて、私は「昆虫」のことを思い出しました。
「昆虫」は、ある一定以上の大きさになることができないと言われています。
大きくなりすぎると、呼吸ができなくなるからです。
実は「昆虫」は自発的な呼吸をしておらず、
全身にある「気門」から空気を取り込んでいます。
小さい虫ならこれで十分に体中に空気を送れるのですが、
大きくなると体の奥の方まで空気が届かなくなってしまう訳です。
「企業」も似たようなものだと思います。
「中小企業」の場合、十分に「社会」の「空気」を従業員に送ることができますが、
「大企業」の場合は体が大きすぎて、
全ての従業員に十分な「社会」の「空気」を送ることができない。
ここで言う「空気」とは、
「会社」が「社会」に「貢献」した際に得る「社会」からの「信」のことです。
「派閥争い」のような政治闘争を見てもわかるように、
「大企業」の方が「信」に関係ない動機で動くため、
組織内に「閉塞感」が生まれてしまいます。
これが「大企業」が「中小企業」よりも劣るところなのです。
 
それから、「中小企業」は「アジル・カンパニー」を目指せとよく言われます。
これは「俊敏な企業」という意味であり、「大企業」という動きの遅い巨人に対して、
「中小企業」は時勢の変化に俊敏に対応できるという「強み」を有している訳です。
ものすごい速さで環境の変化が進行する現代において、
「大企業」はだんだんと元気を失ってきていますが、
逆に「中小企業」にとってはチャンスの時代が到来したと言えるかもしれません。
 
しかし、「中小企業」には一つ注意しないといけないことがあります。
それは、「経営者」からの影響の受け具合が「大企業」に比べて半端ないことです。
「経営者」の「理念」や「能力」が、そのまま「中小企業」の「色」を決定してしまいます。
 
ですので、もし「中小企業」で「働く」ことを検討している場合は、
その「中小企業」の「経営者」を逆面接するくらいの勢いで、
しっかりと「経営者」の「理念」や「経営哲学」を見極めるべきです。
「ハズレ」の「中小企業」に行ってしまうと、なかなか苦労すると思います。
「アタリ」か「ハズレ」か見極めるポイントは、「経営者」と「従業員」の関係です。
「経営者」と「従業員」が完全に敵対しているか、
それとも「経営者」と「従業員」が意見を出し合って進んでいく体制を構築できているか。
このくらいなら、「経営者」の言動や「従業員」へのヒアリングで察知できそうですね。
 
さて、最後にもう一つ「中小企業」にあって「大企業」にないものを紹介します。
以下の写真を見比べて下さい。
上が「戦艦大和」で、下が「ラフティング」です。


 
「ラフティング」のクルーは大変そうですね(笑)。
目の前の水の流れを皆で制御して進んで行きます。
一方、「戦艦大和」のクルーは水に濡れることもなく、
まさに大船に乗った気持ちでいられそうです。
まあ察しがつくと思いますが、
「中小企業」を「ラフティング」で、「大企業」を「戦艦大和」で、表わしてみました。
 
「ラフティング」は、いつひっくり返るかわからないので安定感がありません。
「安定」を得たいのなら、「戦艦大和」に乗るべきでしょう。
しかし、もちろん「ラフティング」にもよい点が存在します。
それは「一体感」や「つながり」、そして「ワクワク」です。
これらの「つながり」や「ワクワク」は、
「幸せ」の源泉となる「人間的成長」を約束してくれます。
 
いかがでしょうか?
「中小企業」にあって「大企業」にないものって、結構あると思いませんか?
特に個人の「人間的成長」の機会という意味では、「中小企業」の方が圧倒的に有利です。
なので、優れた「経営者」がいる「中小企業」で頑張るのも、
「幸せ」な「人生」を目指す上で一つの有効な手段だと言えます。
なぜなら、「人間的成長」さえしてしまえば、
「人生」の次の一手は自ずと拓けてくるからです。
 
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