「生命」とは、「情報」の記憶媒体である

「生命」とは何か?
そんな問いを持ち続けている私にとって、
先日非常によい本と出会うことができました。
 
その本は、
「生命のからくり」(中屋敷均著)という本です。
講談社現代新書で出版されており、Kindle電子書籍で購入しました。
 
「生命」という現象に不思議を感じている人には、
是非読んで欲しい一冊です。
「生命とはこういうものか!」というイメージを、
私は、自分の中に持つことができました。
 
私にとっては、
リチャード・ドーキンス博士の利己的遺伝子を読んだ時と、
同等の興奮とワクワクをもって、
読み進めることができる書籍でした。
 
詳しくは、あるいは正確には、是非実際にこの書籍を読んで欲しいのですが、
「生命」とは何か?という問いに対して、
この書籍を通じて、私は今以下のような答えを持っています。
 
「生命」とは、「成功体験」を蓄積するシステムであると。
 
全ての「生命」は、DNAやRNAといった遺伝子を持っています。
遺伝子の本質は、ATGCという4つの記号を組み合わせた「情報」です。
 
「生命」は延々と、この「情報」の複製を続けてきました。
その結果、「生命」の持つ「遺伝情報」は、
40億年経った今でも消滅せずに、地球上に蔓延しているのです。
 
しかもその「情報」は、この40億年で、恐ろしく改善されました。
この「地球」という環境により適応できるよう、
すさまじいバージョンアップを遂げているのです。
 
その秘密は、「生命」という「情報」の記憶媒体の持つ2つの機能にあります。
1つは、「情報」の変容機能。
「生命」は杓子定規に、全く同一の「情報」を複製する訳ではありません。
たまに、間違える。
このファジーさによって、「生命」の持つ「情報」は変容します。
 
そして、たまたま間違って変容した中に、
より環境に適用できる「情報」が生まれることがある訳です。
「生命」は、この有効な「情報」をキャッチアップして、
自分達の「遺伝情報」の中に溜め込むことができます。
自然淘汰によって、有効な「情報」を持つ「生命」が選択的に増幅されるからです。
 
そう。
「生命」という「情報」の記憶媒体が持つもう一つの重要な機能が、
「成功体験」につながった「情報」を選択的に蓄積する機能です。
 
この「情報の変容」と「優位な情報の蓄積」という2つの機能が、
「生命」の本質であろうと、私は考えます。
 
さて「情報」には、
その「情報」を読み取る、あるいは利用する主体が必要です。
ですから「生命」がこの「世界」に誕生したときが、
「情報」の誕生日になると、私は考えます。
 
「生命」と「情報」は表裏一体・・・というか、
「生命」の真の正体が「情報」だと考えられないでしょうか?
 
確かに「生命」は「物質」で構成されています。
しかし「物質」は使い捨てであり、
40億年前の誕生から延々と継続している「生命」のバトンは、
「モノ」とは別次元の存在である「情報」である訳です。
 
「生命」とは、諸行無常のこの地球上で、
最も長く「情報」を保持できている記録媒体であると言えます。
40億年も「情報」を保持できる媒体は、
現代の人類でも作ることは難しいのではないでしょうか?