「自営幸福論」

日本の企業の業種構成を見ると、「サービス業」の割合が増加しています。
これを「サービス経済化」と呼びます。
中小企業庁の「サービス経済化」に関するページ
 
イギリスの経済学者コーリン・クラークは、
第1次産業」「第2次産業」「第3次産業」という有名な産業分類を行いました。
ウィキペディアこちら
すなわち、「第1次産業」は農林水産業、「第2次産業」は製造業等です。
また、「第3次産業」は上記以外の販売や情報通信、金融等の業種、
つまりサービス等の無形の価値を産み出す産業であると言えます。
 
そして、上記の産業分類の話の際、セットで紹介されるのがペティ=クラークの法則です。
産業は経済社会・産業社会の発展につれて、「第1次産業」から「第2次産業」、
「第2次産業」から「第3次産業」へと
就業人口の比率および国民所得に占める比率の重点がシフトしていくと言われています。
日本の「サービス経済化」は、このペティ=クラークの法則に則ったものです。
 
ところで、私は「自営」こそが「幸せ」の一つの形ではないかと考えています。
「自営」ですから、
ベンチャー企業」のように、会社を大きくすることや上場を目的にするのでなく、
自分や家族が生活することを目的に、商売を営む形です。
 
例えば、以前ブログで紹介したムハマド・ユヌス教授のグラミン銀行の事例。
マイクロクレジット」によって多くの自営業者を産み出し、
バングラデシュ社会の幸福度を増進させました。
自分の環境で自分の才能を用い自分に必要な分だけ働く。
バングラディシュでは、これが実現したのです。
 
しかし、日本ではこうは行きません。
日本の社会では、バングラデシュよりも「自営」が非常に難しい。
これは、企業の大資本化が極端に進んでいるためです。
大きなスーパーマーケットが進出して、商店街が衰退する様を想像してもらえば、
日本での「自営」の難しさを理解していただけると思います。
基本的に、「モノ」や流通のような単純な「サービス」を産み出すためには、
巨大な設備やシステムを導入することが圧倒的に有利な訳です。
 
では、日本では「自営」が入る余地が全くないのかと言うと、そうでもありません。
特に「心」に近い分野には、逆に機械やシステムが入り込む余地がないのです。
典型的な例として、「作曲家」「音楽家」「画家」「小説家」「演劇家」「デザイナー」。
また、スポーツ選手も「心」に響く仕事と言えるでしょう。
 
「なんだ!全部、才能が必要じゃないか!」と思わないで下さい。
例えば、行列ができる飲食店に大資本のチェーン店はあるでしょうか?
ほとんどは、個人か中小企業が経営する店舗です。
「おいしく食べる」という「心」に近い分野には、大資本は無力と言えます。
顧客の「心」に届くためには、マニュアル化された「ルール」では足りないのです。
また、「大資本」と「個人」が、
お互いのよいところをうまく分担し合っている場合もあります。
ネットショップは、
「モール運営会社」が大資本により効果的効率的なバーチャル店舗を提供し、
そのモールに出展する個人や中小企業は、
「どうしたらお客様に喜んでもらえるか」という真心と創意工夫で品揃えを行う訳です。
 
つまり、日本で「自営」が活躍できる領域は、より「人間らしい」領域となります。
どうしたら相手の「心」に届くのか?思いやりの精神が重要となる訳です。
 
あなたが、会社員だとして、今「幸せ」でないとしたら、
もしかしたら、会社のパーツとして指示に従う生活に嫌気がさしているのかもしれません。
より「人間らしく」働きたいと。
そういった方々に、「自営」という選択肢を提供できれば、
社会の幸福度は増進するのではないかなぁと思います。
 
特に、ライフ・マトリクスで言うところの、「与える」側の人々に「自営」はオススメです。

 
「どうしたらお客様に喜んでもらえるのか」。
こういった発想は「与える」側の人々の得意分野となります。
 
第1次産業」や「第2次産業」で、新たに「自営」を始めるのは少し難しいかもしれません。
第1次産業」は農協等の既存組織に組み込まれているため、
自身の独自性を活かした仕事は難しいところがありますし、
そもそも補助金なくしては、成り立っていない産業でもあります。
TPPにも加盟したため、外国の大資本に駆逐される恐れもある訳です。
「第2次産業」は、大資本による工場がなければ成り立たない世界。
「自営」の入り込む余地はありませんね。
 
そこで、「第3次産業」こそが、日本における「自営」のフロンティアであると考える訳です。
「サービス経済化」が進展する日本の社会。
「第2次産業」が中心の時代には、力を失ってしまった「自営」ですが、
「第3次産業」の隆盛により、その真価を発揮する時代がやってきました。
「第3次産業」の中でも、より「心」に近い領域が活躍の舞台です。
 
インターネットの普及も「自営」にとっては、またとないチャンス。
考えてもみてください。
インターネットで閲覧しているコンテンツは、全て「人」が手造りで創っているのですよ。
 
会社に雇われることなく、「自営」で生活していくことが、
「人」にとって一番自然に生きる喜びを感じられる環境であると考えます。
「自営」という選択肢が、日本人の目の前に大きく出現すると、
日本社会の閉塞感は一気に取り払われるはず。
私は、「自営」への道を拓くことが、より社会を「幸せ」にすると考え、
この分野にも「アンテナ」を張って、ブログを描き進めていきたいと考えています。
 
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