「メジロ」推し

私は昔から、野生の生き物が好きでした。
彼らの生き様から学ぶことはたくさんあります。
そして感動したり感嘆したり、心を動かされるのです。
  
野生の生き物と言っても、ライオンやゾウにはあまり興味がありません。
私の隣人ではないからです。
 
私は、身近にいる雑草や鳥たちを好みます。
 
花鳥風月。
雑草は綺麗な花を咲かせ、鳥は愛らしい唄を歌います。
 
今回私が紹介したいのは、メジロです。
私が愛する鳥たちの中でも、最も愛くるしいと感じています。

 
今回参考にさせて頂いている情報元は、ご覧の通りです。
ウィキペディア
・書籍「鳥ってすごい!」(樋口広芳著、ヤマケイ新書)
 
メジロは、昔から春を告げる鳥として親しまれてきました。
花の蜜を大変好むため花期に合わせて行動し、
春には好物の花の蜜を求めて南から北へと移動することもあるようです。
花の蜜を好むことから、
地方によっては「はなすい」「はなつゆ」とも呼ばれています。
ソメイヨシノが開花すると、
ヒヨドリやスズメと共に花に群がっている姿を観察できます。
日本人の桜好きは、彼ら野鳥にとっては恵となってるようですね。
 
花が咲き始めるこの時期、私の住んでいる鎌倉市にもメジロ達がやって来ています。 
スズメよりも一回り小さい彼らですが、スズメに比べて比較的警戒心が緩いです。
ですので、その緑色の可愛い姿を近づいて観察することができます。
彼らは細く尖ったクチバシを花に差し入れ、
ブラシ状の舌で花の蜜を舐めとるのだそうです。
 
さてここからが、今回のブログの本番となります。
今回紹介するメジロの仲むつまじい夫婦の愛情を知れば、
きっとあなたも今日から「メジロ」推しになるはずです。
 
まず予備知識として、「つがい」について説明します。
「つがい」とは、動物のメスとオスのペアのことです。
ほとんどの鳥は、産卵してヒナを育てるまで「つがい」で協力します。
なぜなら、鳥は卵を温める必要があるからです。
虫や魚の卵と違い、鳥の卵は一時も休まず温め続けなければなりません。
 
そうすると、メスだけでは卵を孵化させることができないのです。
メスだけでずっと温めていたら、メスはエサを食べられず餓死してしまいます。
ですから、メスとオス交代で卵を温めて、
一方がエサを摂りにいくというスタイルが必要になる訳です。
 
また生まれたばかりのヒナには羽毛もなく、全くの非力です。
ヒナを置いてエサを探しに行くことができないため、
卵が孵化した後も、一方がヒナを護り、一方がエサを探しに行くという、
「つがい」の協力プレーが必要となります。
 
哺乳類では、母親のお腹で、ある程度の期間子どもを育てるため、
そこまでメスとオスが共同で育児をしなくてもよいのです。
哺乳類の子どもは、生まれた瞬間自分の脚で立ち上がります。
 
しかし人間の赤ちゃんは、野生の哺乳類と違って一人では何もできません。
ですから、鳥の「つがい」のようにお母さんとお父さんで面倒を見る必要がある訳です。
 
このように鳥類は、人間の夫婦のようにメスとオスでカップルをつくるのですが、
多くの鳥では「つがい」は1年限りの契約となります。
翌年の繁殖期には、別の相手を見つけるのです。
夫婦仲の代名詞となっているオシドリも、1年ごとにパートナーを変えます。
 
しかし寿命の長い鳥(ツル、ガン、ハクチョウ、タカ、アホウドリ)では、
一生同じ相手と「つがい」になり、繁殖期以外も行動を共にするそうです。
一方で寿命の短い小鳥では、一生涯のパートナーをほとんどつくりませんが、
メジロは一生同じ相手と添い遂げる数少ない例となっています。
 
メジロは、巣作り、抱卵、育雛、をいつも同じ相手と協力して行うのです。
また、夫婦同士で相互に羽繕いをしてあげたりします。
そして極めつけは、接触就眠という習性です。
 
メジロは、夜になるとつがいの二羽が枝上で並んでとまり、
完全にくっついて休みます。
寝ている木の下で手を叩いたりして驚かすと、
一瞬枝の上で少し離れますが、すぐまたくっついてしまうのだそうです。
スズメやムクドリ等、他の一般的な鳥たちの場合は、
就寝時、個体と個体の間には一定の距離が保たれます。
 
メジロ接触就眠。
なんて、愛くるしい習性なんでしょうね!
 
もちろん性格の不一致(?)で、メジロも離婚することがあります。
メジロの離婚率は5.7%と、一般の鳥に比べて低いです。
日本人の離婚率は20%弱といったところなので、
日本人の夫婦よりも、メジロの夫婦は仲がよいと言えるかもしれません。
 
また「つがい」をつくる鳥類も、浮気をするようです。
鳥の場合は、
メスが自分のパートナーよりもかっこいいオスを選んで交尾をすることがあります。
この「つがい外交尾」は、メスとオスの外見が異なるほど高い確率になるそうです。
オシドリなんかは、オスの外見がメスと全く異なります。
オスの外見が異なるということは、
オスの外見がメスに対するセックスアピールになっているということです。
ですからオシドリのメスは、
ふらふらとかっこいいオスと浮気をしてしまう傾向があります。

 
これに対して、メジロは雌雄同色。
おそらく浮気の確率も低いのではないかと予想されます。
 
はい。
ここまで、長々とメジロの「つがい」の仲むつましい愛くるしさを説明してきました。
そして最後に、とどめの写真を載せます。
この写真を見たら最後、
今日から絶対あなたは「メジロ」推しになるはずです。