「人」という字は


 
3年B組金八先生」という学園ドラマの一場面で、
「人」という漢字の成り立ちを、
金八先生が生徒に説明する名シーンがあります。
このシーンでは、熱血教師の金八先生が、
「君たち、いいですか。人という字はねぇ、
 ひとと、ひととが支えあっているから人なんですよ。」
と熱く語ります。
「人」という漢字に、左右から支えあっている二人の人を見ている訳ですね。
結構有名なシーンですので、
もしかしたら多くの人が、
「人」という漢字の成り立ちを、「支えあった二人」と認識しているかもしれません。
 
しかし実際には、「人」という漢字の成り立ちは、
「一人の人が立っている姿」を横から見た形なのだそうです。
一人の人が自立している姿、あるいは立ち上がろうとしている姿なので、
ある意味、金八先生の解釈とは真逆の成り立ちであると言えるかもしれません。
 
そうであるとすれば、「人」という漢字からは、
金八先生の説明とは別の
次のような教訓が読み取れるかもしれません。
 
誰かに頼って生きていくうちはダメ。
しっかりと自分の足で人生を歩いて初めて「人」と言えるのである。
 
人に頼らずに生きられるようになると、
己の「真」「善」「美」に沿った生き方ができる。
自身の価値観を最善面に押し出して生きている状態が
本当に生きているという状態であると思うのです。
 
他者の価値観に服従して生きることは、死を選びたくなるほど苦しい。
そしてそのような人生では、この世界に生まれた「私」のレーゾンデートルは消滅します。
外部の価値観とのせめぎ合い。
この問題をどう解決もしくは克服するのかが、
人の人生における最も大きな壁であり試練であると感じています。