「リビドー(生の本能)」と「タナトス(死の本能)」の狭間で

人間には、
「生き生きと生きたい」という「リビドー(生の本能)」と、
「もう生きるのは嫌だ」という「タナトス(死の本能)」が
共存します。
そして、この2つは相反するものであるため、
コインの裏と表のように、
どちらかが優勢の時は、どちらかは沈黙するという格好になります。
 
サーフィンに乗っているところを想像してみましょう。
うまく「人生」の波に乗れている時は「リビドー(生の本能)」が優勢となりますが、
何かにつまずくと、ひっくり返って「タナトス(死の本能)」が優勢になる訳です。
 
タナトス(死の本能)」は、最終的には「自殺」に向かいますが、
そこまで行かなくても、
「あぁ、何もかもが面倒くさい・・」とか、
「やらなくてはならないことがたくさんあるのに、何もやる気がしない・・」とか、
「無」の底なし沼にはまり込み、身動きが取れなくなることがしばしばあります。
 
こんな時には、何をしても裏目に出てしまう訳です。
一日家で休んでも、無為な過ごし方しかできず、
気持ちは更に落ち込み疲れも抜けません。
タナトス」の面が出た時には、
休息をしてもムダだし、
タナトス」な精神状態を引きずったままでは、
何をしてもムダな抵抗となってしまうのです。
タナトス」にはまったら、いくらもがいても事態は改善しません。
もがくのではなく、サーフボードを「リビドー」にひっくり返すことが必要です。
 
さて、私の乗っているサーフボードはとても安定が悪く、
私自身サーフィンの腕が下手くそであるため、よくひっくり返ってしまいます。
そのため、私は「タナトス」の面で、もがき苦しむ経験がとても豊富です。
その経験豊富な私が、
タナトス」から「リビドー」にひっくり返す方法として気づいたことを
ここに記したいと思います。
 
①他者の「承認」 
 サーフボードがひっくり返っている時は、
 周りは水ばかりなので、やみくもに何かを掴もうとしても徒労に終わってしまいます。
 そうではなく、周りのサーファーが差し出してくれる「手」を掴むのです。
 すなわち、自分の「苦しみ」を「承認」してくれる「家族」や「仲間」。
 ただし、差し出されていない「手」を掴もうとしてはいけません。
 「助けになりたい」と思っている人の「手」でない場合、
 手を伸ばしても振り払われるかもしれないのです。
 他のサーファーだって、ひっくり返らないように波に乗ろうと必死ですからね。
 それは、仕方のないことだと思います。
 逆に言えば、損得抜き理論抜きで、
 無条件に自分の「苦しみ」を「承認」してくれる「家族」や「仲間」は
 本当に有難い存在な訳です。
 そこは、しっかりと認識した方がよいと思います。本当に。
 今、苦しくて仕方のない人は、話を親身に聴いてくれそうな人に、相談してみましょう。
 相談して相手が一生懸命考えてくれた答えももちろんとても温かいものだし
 もう一つ、
 「苦しみ」を「承認」してもらったという事実がとてもとても大事です。
 あなたの「苦しみ」が、相手に「共感」され「承認」されるだけで、
 あなたの「苦しみ」は、いつの間にか半分になっています。
 そして例えば、その「苦しみ」が自身の「至らなさ」が原因だったとしても、
 恥ずかしがらずに話すべきです。
 手を差し出してくれる人ならば、
 「ああ、そんなこともあるよね」と優しく「承認」してくれます。
 逆に、苦しんでいる人から相談を受ける時は、
 相手の「苦しみ」に「心」から「共感」して相づちを打って
 「承認」をすることが重要だと考える次第です。
 そうするだけで、
 相手の「苦しみ」を「癒す」という目的の既に半分以上を達成できると考えます。
 
②書籍とか音楽とか映画とか漫画とか
 運悪く、「手」を差し出してくれるサーファーが周りにいない時は、
 漂流物を掴んで体制を立て直すことも一つの手です。
 自身の「心」を、
 「タナトス」から「リビドー」にひっくり返せる「音楽」や「書籍」をお持ちですか?
 「音楽」だったら、私は中島みゆきさんの「ファイト!」とかかな。
 あとは、ブルーハーツの「リンダ・リンダ」とか。
 「多くの人を助けたい」「多くの人を励ましたい」という優しい「心」で創られた作品は、
 世の中にたくさんあります。
 ちなみに私がこのブログで描こうとしている「優しい小説」も、
 多くの人の「タナトス」を癒すことが目的です。
 「タナトス」の面をひっくり返すことを意識して、
 お気に入りの作品に「心」を委ねましょう。
 あなたが気に入っているその作品で、苦しんでいるあなたが元気になったのなら、
 作者はきっと「心」から喜ぶはずですよ。
 
以上、私なりの「タナトス」から「リビドー」にひっくり返す方法をご紹介しました。
タナトス」の時は、もがいているだけでは本当に何をやってもダメです。
自分の経験では、頭の中にサーフボードでもコインでも思い浮かべて、
それをひっくり返すことを意識すると、少しずつスムーズに復帰できます。
例えば上記の①や②の方法が参考になるかわかりませんが、
自分なりのひっくり返し方法を見つけられると、きっと人生が楽になると思う次第です。