「辛い」ものを「甘く」する

前回のブログ記事は、
「心」が他者の「人格」を感じる感じ方は、
「舌」が食べ物の「味」を感じる感じ方と、
同じではないか?というお話でした。
 
「舌」は、
「甘み」「酸味」「塩味」「苦味」「うま味」の5つの基本味で、
食べ物の味を認識しています。
 
「心」も他者の「人格」を感じるときに、
基本的な何種類かの尺度で感じていると考えた訳です。
 
前回は、
「やさしい」⇔「やさしくない」
「なめている」⇔「なめていない」
の2つの基本味を提唱しましたが、
他にも、
「面白い」⇔「退屈」
「かわいい」⇔「不気味」
などの基本味が、考えられます。
 
新出の基本味を加えて、表示を揃えるなら、
「やさしい」の反対の項目は、
「やさしくない」ではなく、
「厳しい」とかになるでしょう。
「なめている」の反対の項目は、
「認めている」になるかもしれません。
 
さて上記を踏まえて再整理した「心」の4つの基本味が、以下です。
(a)「やさしい」⇔「厳しい」
(b)「認められている」⇔「なめられている」
(c)「面白い」⇔「退屈」
(d)「かわいい」⇔「不気味」
 
それぞれの軸の動きに相関関係がなければ、
それぞれの軸は独立していると考えられます。
(a)〜(e)は全て、他の要素から独立して存在する味でしょうか?
 
う〜ん、(a)と(d)あたりには、
相関関係が見られるような気がします。
上記の基本味は、もう少し磨く必要があるようです。
 
さて今日は、
「辛い」ものを「甘く」する話をしたいと思います。
 
前回のブログ記事で登場した人格ポジショニングマップ。
4つの基本味のうち、2つを軸にしています。

 
自分の周囲の人間は全て、
上記のどこかに位置づけされるはずです。
 
④の象限にいる人格達が、
自分にとってストレスを与えるやっかいな人格達です。
いきなり①にすることはできませんが、
②や③にずらすことなら検討の余地があると思います。
 
(1)④から②にずらす
 自分がなめられていると感じている相手。
 認められているように感じるにはどうしたらよいでしょうか?
 もちろん努力して認められるのが一番でしょうが、
 残念ながら全ての人に認められることなどありません。
 成功者や政治的権力者が、
 ボロボロに言われるなんてよくあることです。
 「相手に認めさせる」という手法は、
 「心」の「幸せ」には寄与しません。
 じゃあ、自分の「心」のあり方を変えればいいのか?という話になりますが、
 それも無茶な話です。
 「心頭滅却すれば火もまた涼し」と言いますが、一般人には無理な話だと思います。
 実際に自分を認めていない人が、
 「本当は自分のことを認めているんだ!」と思い込むこと自体空しいです。
 
(2)④から③にずらす
 これも(1)と一緒です。
 自分に厳しく(辛く)あたる人が、
 実は「自分にやさしい人なんだ!」と思うのも無理がありますね。
 おそらく嫌われている場合がほとんどでしょうし。
 
結局、「辛い」料理を「甘く」感じようとすることが間違いだと思います。
では、自分を苦しくする④の人達をどうすればよいのか?
 
一度、舌の話に戻ります。
実は舌の基本味に、「辛味」というものは存在しないのです。
「辛味」は、舌や口腔内で単に痛覚として感じています。
「辛味」のウィキペディアによりますと、

辛味は、料理を調理したり食べたりするに当たって、
重要な味覚のひとつと考えられている。
しかし生理学的定義に基づく味覚は、
味覚受容体細胞にとって適刺激である
苦味、酸味、甘味、塩味、旨味の5種(五基本味)を指しており、
辛味はこれにあてはまらない。
神経刺激としての辛味の核心は
舌・口腔のバニロイド受容体(カプサイシン受容体)で感じる痛覚であり、
これに他の条件(トウガラシであれば、発汗および発熱)が統合されたものを
辛味と呼んでいる。
近年、カプサイシン受容体が単離されたが、
口腔内に特異的なものではなく全身に分布しており、
また従来の味覚受容器とは別のものであるため、5基本味が6基本味になることはない。

とのことです。
 
「辛味」は「痛み」なのですが、
料理の重要な味覚の一つであることには変わりありません。
辛くて美味しい麻婆豆腐を思い浮かべて下さい。
ご飯と一緒に食べると最高ですよね!
 
このように本来忌避すべき「痛み」も、使いようなのだと思います。
 
もしあなたが今日から「辛味」を感じられなくなるとしたら、それは嬉しいことですか?
嬉しくないですよね。
私は、麻婆豆腐もキムチも大好物です。
 
そして④の事象の人達も、
「辛み」と同様に「人生」には欠かせない人だと私は考えます。
 
もちろん周囲の全ての人が④の事象だったら、それは悲劇です。
しかし、実際にそんなことはあり得ません。
必ず②や③の人、それに①の人が、いるはずなのです。
 
食事とは、様々な味のハーモニー(調和)を感じて楽しむもの。
他者との関係性も、
麻婆豆腐の中の辛い唐辛子ばかりに注目しないで、
全体の味を感じて楽しむことが重要だと考えます。
わかりますか?
四川料理の店で食べる辛い麻婆豆腐の美味しさが。
 
結局「辛い」ものを「甘く」することはできません。
しかし「辛い」ものばかりに注目しないで、
様々な基本味の調和の中の一員と考えれば、
「辛い」ものも本当に美味しく食べることができる訳です。
 
④の事象の人達にばかり目を向けるのでなく、
もっと視野を広げて、様々な人の味を感じることができるようになれば、
④の人達の味も、欠かせない味であることに気づくと思います。
局所を見つめるのでなく、総体として「人生」を美味しく頂くのです。
そうすることで、「人生」の妙味を味わうことができると思います。
 
「辛い」料理、皆さんもお好きでしょう?