「ボトックス」の笑えない話

最近「脳には妙なクセがある(扶桑社)」という本を読みました。
「脳」を研究されている東京大学教授の池谷裕二さんが書かれた書籍です。
 
私はこの方の「脳」に関する書籍を他にもいくつか読んでいます。
どれも「脳」に対する知見を新たにできる面白い内容でした。
 
さて今回「脳には妙なクセがある」を読んで、
「笑顔」に関する興味深い内容がありました。
ここで紹介したいのは、「笑顔」に関する2つの効果です。
 
(1)「笑顔」が、相手をハッピーにする
 「笑顔」の人がいると、その場の雰囲気が和らいだものになります。
 それだけでなく、「笑顔」は他の人に感染するのだそうです。
 これは、私達の「脳」のクセに原因があります。
 「脳」は相手の仕草をマネしようとするのです。
 ですから、赤ちゃんに微笑みかけると、赤ちゃんは笑顔で返してきます。
 これは親の仕草を一生懸命マネしようとしている訳ですね。
 私達大人も一緒で、特に共感している相手には無意識に似た動作をします。
 「笑顔」でいれば、「笑顔」が帰ってくる。
 実にシンプルな「幸せ」の法則です。
 
(2)「笑顔」が、自分をハッピーにする
 楽しいから「笑顔」が出るのでなく、
 「笑顔」の表情をつくるから楽しくなるというのが、
 最近の「脳」の研究結果だそうです。
 箸を口で横にくわえると笑顔に似た表情になるのですが、
 その状態でマンガを読み、面白さに点をつけると高得点になります。
 また「笑顔」の表情をつくると、
 外部環境から楽しい事象を収集する能力が向上するのだそうです。
 「笑顔」をつくれば、「笑顔」にふさわしい心理状態になる。
 まさに「笑う門には福来たる」です。
 
このように「笑顔」には、「幸せ」をもたらす効果が見出されています。
一人で部屋にいるときは、
「試しに箸を口で横にくわえて過ごしてみようかな」と考えている次第です(笑)。
 
さて逆に、「笑顔」が出ないように表情を固定してしまうと、
上記の「他者に与える影響」も「自身に与える影響」も発揮されなくなってしまいます。
 
肌の老化を防ぐとされる「ボトックス」。
この物質は、食中毒の原因となるボツリヌス菌の毒素です。
この毒素は神経末端の機能を不可逆的に阻害し、
神経末端が再生するまで筋肉を麻痺させます。
この毒素を顔に注射すると顔面筋の動きがにぶり、
シワができにくくなるという効果を期待できる訳です。
 
しかしこの老化予防のメリットの代わりに、
表情が多少乏しくなるというデメリットが生じることに注意を要します。
 
「笑顔」が表情に出にくくなるので、
上述(1)(2)の「笑顔」の効果を享受できず、
楽しくない「人生」をひきよせてしまう可能性がある訳です。
 
更に、南カリフォルニア大学のニール博士が、
「ボトックス」に関して興味深いデータを報告しています。
「ボトックス」を使用すると、相手の感情を読みにくくなるというのです。
 
この理由としてニール博士は、
「無意識のうちに相手の表情を模倣しながら、相手の感情を解釈している」と
説明しています。
 
さて、本日は「笑顔」の話でした。
なかなか「笑顔」でいる余裕のない人も多いかもしれません。
しかしそういう人こそ、「笑顔」の効果を実験できるチャンスです。
 
今日から意識的に「笑顔」をつくってみませんか?
 
はい、笑って〜!