セイタカアワダチソウの仁義なき戦い

セイタカアワダチソウ」って草、聞いたことありますか?
聞いたことはなくても見たことはあると思います。
上の写真にも載せていますが、
秋に一斉に黄色い花を咲かせる背の高い雑草です。
これ実は、北アメリカが原産の外来種
戦前に日本国内に入ったともいわれますが、
実際に目立つようになったのは戦後で、
昭和40年代以降には全国で大繁殖するようになりました。
 
ちょっとここで、このセイタカアワダチソウ
無茶苦茶たくましい生態をご紹介しましょう。
(1)驚異の繁殖力
 ある資料によるとセイタカアワダチソウ
 1本で5万個もの種をつけるそうです。
 しかも1㎡に100本と言う大変な密度で生え、
 1㎡では実に500万個もの種をつけます。
 これが風によっていたるところに散布されるので、
 日本の秋の野原が黄色の世界に一変してしまう訳です。
(2)驚異の化学兵器
 セイタカアワダチソウの根には
 植物の発芽・成長を阻害する物質が含まれており、
 それを分泌することによって、なんと周囲の植物を攻撃します。
 ちょうどセイダカアワダチソウと同じ環境に生えていたススキは、
 この化学兵器にやられて、一時期どんどん制圧されていきました。
 ただしこの毒は強すぎて、自分達の成長も抑制しちゃいます。
 いわゆる自家中毒と呼ばれる現象。
 全くもって迷惑な存在です(笑)
 
ところで、セイダカアワダチソウとススキはお互いライバル同士。
秋の野原でこの二大巨頭は、凄まじい勢力争いを展開します。
さっき書いたように、
セイタカアワダチソウは根から分泌する毒でススキを攻撃します。
だけどススキもやられっぱなしではありません。
最近始まったススキの逆襲。
それは、成長速度を上げることで、セイタカアワダチソウの毒への耐性を獲得し、
かつてのススキと一味違う巨大化した超ススキを出現させること。
すごいですね、ススキ。なんか不可能を可能にしてしまっています。
 
そして、さらにススキと共同戦線を張っているのが、
日本在来の植物であるクズです。
クズの根はセイタカアワダチソウの毒が届かない深いところまで伸びます。
そして成長したクズは、どんどんセイタカアワダチソウを覆っていき・・・
ついには、クズ自身の葉の重さと光の遮断で成長ができなくなり、
セイタカアワダチソウは枯れてしまいます。
一方ススキはどうか?
ススキは、クズがつるを伸ばして広がっても
背の高い葉をその隙間から伸ばしているので、
さほどの影響も受けないという訳です。
こういう風にクズとススキが仲良く共生しているのが、
昔の日本の風景なのかもしれません。
 
それにしてもセイタカアワダチソウは、
外来種であることやその毒々しい存在感のせいで
日本ではあまり人気がありません。
ところが、アメリカのケンタッキー州では州花になっている花なんです。
日本での待遇とは雲泥の差なのです。