「経営理念」と個人

「経営理念」。
会社にとって最も重要な概念です。
株式上場をしているような大企業は、ほぼ全てこの「経営理念」を持っています。
「経営理念」とは
会社自身が決めた会社の存在意義(レーゾンデートル)だと言えるでしょう。
お金を儲けることが会社の存在意義だと思われがちですが、
お金を儲けることは手段で、会社の存在意義は別にあるという会社も少なくありません。
 
例えば、京セラ。
この会社の経営理念は、
「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、
 人類、社会の進歩発展に貢献すること。」
この目的のために京セラは存在するのです。
従業員も、がぜんモチベーションが上がるでしょう。
この会社で働く従業員は幸せだなと思います。
 
他にも、何社か経営理念を見ていきましょう。
パナソニック
 (綱領)
 「産業人タルノ本文ニ徹シ
  社会生活ノ改善ト向上ヲ図リ
  世界文化ノ進展ニ
  寄興センコトヲ期ス」
 ※一部旧字体の漢字を新字体で表記しています
タリーズコーヒージャパン>
 一杯のコーヒーを通じて、「お客様」、「フェロー」、「社会」に
 新しい価値を創造し、共に成長する。
  一、 その一杯に心を込める
  一、 お客様の期待を超越する
  一、 地域社会に根ざしたコミュニティーカフェとなる
  一、 最高の仕事が経験できて、一人一人の可能性が広がる職場をつくる
  一、 子ども達や青少年の成長を促すために、夢や目標のお手伝いをする
 
会社活動とは、従業員の日々の働きの集合体。
では従業員は、何のために働くのか。
「経営理念」を目的として働くのです。
 
単に社長が金持ちになりたいための会社と、
しっかりとした「経営理念」があり従業員の幸せや社会貢献を目的とした会社。
どちらの会社の従業員が、よりよい仕事をするのか明らかですよね。
 
「経営理念」は会社の魂。
魂の入っていない会社はゾンビと一緒です。
しっかりとした存在意義がない会社は、迷走するのみ。
ちょうど増殖することだけが目的となってしまっている癌細胞と
ある目的を果たすために機能する正常な細胞をイメージしてもらえれば、
「経営理念」が備わっていることの意義を理解しやすいと思います。
 
さて、ここまでが経営学のお話しですが、
これを「個人」の社会を生き抜くサバイバル学にも当てはめてみたいと思います。
 
存在意義を持たない会社はゾンビのような存在であり迷走してしまう、と書きました。
個人とて、「生きる意味」を持たずに本能の提供する快楽に従って生きる状態は、
とても不安定な状態だと思いませんか?
 
誇り高い「経営理念」を持ち、
その「経営理念」をしっかりと活かしている会社の従業員は、
迷いなく、力強く、誇り高く、働くことができます。
 
個人も、しっかりとした「個人理念」を設定すれば、
迷いなく、力強く、誇り高く、生きることができそうな気がします。
 
ここで言う「個人理念」とは、「個人の存在意義」や「生きる意味」です。
ただ、「あなたの「生きる意味」は何ですか」と問われても、
すぐに答えを出すのは難しいでしょう。
「生きる意味」という言葉には、禅問答的な雰囲気があり、
常人には見つけることができないイメージがありますからね。
 
でも、そんなに難しく考えなくても、
実は、よいお手本が世の中にたくさんあります。
そう「経営理念」ですね。
 
「経営理念」は、会社が迷いなく経済活動するうえで実際に効果を発揮しています。
「生きる意味」も「経営理念」に倣って設定すれば、効果のあるものができそうです。
 
この会社って素敵だなって思う会社があったら、
その会社の「経営理念」を調べてみるのも面白いかもしれません。
あなたと波長の合う会社の「経営理念」には、
あなたの「生きる意味」として使えそうな要素が含まれている可能性があります。
 
「経営理念」の多くには、
「自分」以外の「社会」にも貢献することが明記されています。
迷いなく、力強く、誇り高く、生きるためには、
「生きる意味」に、「社会」への貢献も加える必要があるかもしれません。
 
例えば、上記で紹介した「タリーズコーヒージャパン」の経営理念にも、
個人が「生きる意味」を設定する場合のヒントがありそうです。
 
「自分にできること」を通じて、
「自分」だけでなく「他者」や「社会」にも貢献していこう。
こういう気持ちを自分の「生きる意味」に含めると、
心地よい生き方ができるような気がします。
 
経営学において、「経営理念」は企業の大前提。なくてはならないものです。
個人においても、「生きる意味」を設定することは幸せの大前提であると考えています。