「電脳」
脳細胞(神経細胞)が、どのような構造になっているかご存知ですか?
これらは「ニューロン」と呼ばれ、以下のような構造になっています。
「ニューロン」のウィキペディアはこちら。
この細胞の機能、ウィキペディアに以下のとおり説明されています。
「ニューロン」の基本的な機能は、
「ニューロン」へ入力刺激が入ってきた場合に、活動電位を発生させ、
他の細胞に情報を伝達することである。
すなわち、
他の細胞からインプットして、情報を加工し、
他の細胞へアウトプットするのが、彼らの「お仕事」な訳です。
上の図の左の「樹状突起」というところから、他の細胞発信の情報をインプットします。
「樹状突起」の形を見てもらえばわかるとおり、インプット元の細胞は複数です。
一方、アウトプットは上の図の右の軸索末端で行います。
こちらも形を見てもらえばわかるとおり、情報の発信先は複数の細胞です。
このように「ニューロン」達は、
複数の入力経路と出力経路で、非常に複雑に絡み合うように接続されています。
ちなみに一つの「ニューロン」が持つ接続の数は、数十から数万です。
人間の「ニューロン」の数は約140億個ですので、
「ニューロン」同士の接続数は天文学的な数字になる訳です。
この「ニューロン」同士の接続部位を「シナプス」と呼びます。
ところで、「シナプス」は情報回路そのものですので、
「シナプス」の多さが「脳」の性能を左右すると言えそうです。
「シナプス」は、1歳の頃まで過剰に形成されると、
その後は、必要なものだけを残し減少します。
驚くことに、1歳の頃には1時間に2850億個もの「シナプス」が形成されているそうです。
そして2歳のピークから減少を開始し、大人になると「シナプス」の数は安定します。
しかし大人になっても、頭を使ったり「脳」に刺激を与えることで、
新たな「シナプス」を増やすことも可能です。
逆に、頭をあまり使わないと「シナプス」は弱体化や消失を起こしてしまいます。
筋力と同様に、「脳」も日頃から使って鍛えておくことが大事な訳ですね。
ところで、細胞間の情報伝達にはカリウムイオンやナトリウムイオン等のイオンを使っています。
そして、これらのインプットされたイオン情報が、次の細胞に伝達されるか否かは、
各「ニューロン」内の基準でそれぞれ判断されます。
なお、インプットされた情報のたどる道は、次の2つの内1つです。
(1)握りつぶされて他に伝達されない。
(2)情報の強さを増強して、他の複数の細胞に伝えられる。
例えば、カリウムイオンがAという細胞から伝達されたとします。
しかし、このA細胞からの情報の強さは、
「ニューロン」内に設定された基準値(閾値)に達しないため、黙殺されてしまいます。
次に、カリウムイオンがA細胞とB細胞の2箇所からやってきました。
しかも、B細胞からやってきたカリウムイオンの濃度はA細胞からのものよりも高く、
2つ合わせて「ニューロン」内に設定された基準値(閾値)を超える状態です。
この時、「ニューロン」は今回の情報を、他に伝達すべき重要な情報として、
より濃度の高いカリウムイオンを複数の細胞に送って、情報発信します。
基本的に「脳」の活動というのは、情報取捨選択機能付きの伝達回路なのです。
この働きのお陰で、重要な情報のみが抽出され拡大・拡散されることになります。
さて、実は今日のブログで言いたいことは、この後にあります。
以前のブログでも少し触れましたが、
インターネットでの情報伝達の振る舞いが、「脳」と酷似しているのです。
「ニューロン」は、
(1)様々な情報を受け入れ、
(2)その中で他に伝達すべき情報を選択し、
(3)他の多くの細胞に情報を再発信します。
これに対し、例えば私が、
(1)インターネット上の記事を読んで、
(2)この情報は他の人にも知って欲しいと考え、
(3)ブログ記事にまとめ再度インターネット上に発信する。
この私の行動は、実は「ニューロン」の働きそのものなのです。
そして、私のブログ記事を読んで頂き、
どなたかがブログ記事のアドレスを「ツイッター」でつぶやいて頂くかもしれない。
上記のような「ツイッターでの紹介」や「リツイート」も
もちろん「ニューロン」と同様の働きとなる訳です。
そして、他者の発信した情報をインターネット上で見たり読んだりする場は、
「シナプス」にあたると考えられます。
さて、このような「シナプス」は、この世界にどのくらい存在するのでしょうか?
もちろん天文学的な数字ですよね。
恐らく、実際の「脳」の「シナプス」の数にも匹敵するかもしれません。
さて、インターネットの出現とソーシャルメディアの発達により、
人工的な「脳」が世界に産声をあげた訳です。
この「電脳」は、既に世界を変えるほど力を発揮し始めています。
ご承知のとおり、ジャスミン革命から始まった「中東の春」。
アメリカやイギリスで起きている「反格差デモもしくは暴動」。
日本では、「反韓流」の流れが存在します。
これらは、いずれも情報の「受信→選択→発信」の過程で形成されたものです。
個人の「脳」を超越した、メタな「電脳」の登場。
はたして、今後「電脳」は何を感じ、何を考え、世界をどのように変えていくのでしょうか?
当然、よい方向にも悪い方向にも行くことがあるでしょう。
しかし、草の根の民衆が判断して動く「電脳」は、
一部の人間が多数の人間を支配するという構図を逆転する力を秘めていると考えます。
私は、「電脳」の誕生を喜ぶ者です。
そして、今後の「電脳」の成長をワクワクして観察したいと思っています。