人の「不幸」は蜜の味? じゃあ、「幸せ」は何の味?

今日は、「クーリエ・ジャポン」という雑誌で
「幸福」について面白い記事があったので紹介したいと思います。
もちろん単に紹介では終わらず、私の考察ともつなげていきます。
 
さて、アメリカのイリノイ大学の研究者が2002年にこんな調査をしたそうです。
バカンスの最中の人々に「いまどのくらい楽しいか?」とリアルタイムで尋ねた場合と、
その休暇後に「どのくらい楽しかったか?」と尋ねた場合とで、
その回答を比較したところ、それらには大きな違いがみられました。
両者には高い相関関係がなかっただけでなく、なかには相反するものまであったとのことです。
 
この記事では、私たちの中に「二人の自分」がいるとしています。
一人は「様々な体験をしながら日々を生きる自分」。
もう一人は「その体験を記憶して意味を考える自分」です。
 
 「幸せ」とは何か?
誰もその答えを教えてくれないし、外から来る答えは都合のよい嘘かもしれません。
「幸せ」だけは、私たち一人ひとりが自分の頭で考えて決めなければいけないのです。
いいですか?考えるのが苦手な人も、これだけはとことん考えてください。
 
この「幸せ」を考える上のヒントとして、今回の雑誌記事があります。
要は、「幸せ」には2種類あるということです。
一つは、現在進行形で「今その時」に感じる「幸せ」。
それから、後から「あの時は」と思う「幸せ」。
 
更にこの雑誌記事では、
社会心理学者ノバート・シュワルツ教授の1988年の実験を紹介しています。
彼は学生達に二つの質問をしたそうです。
まず「あなたの人生はどれくらい幸せか?」という質問。
次に「この1ヶ月に何回デートをしたか?」という質問。
この場合、二つの回答には有意な相関関係がありませんでした。
さて、今度は別の学生達に順序を逆にして同じ質問をしました。
そうすると、今度は両者の回答に高い相関関係が現れたのです。
 
この実験で言えることは、「あの時は」と思う「幸せ」の方は、
どの記憶に焦点を絞るかでガラッと変わってしまうということ。
「今その時」に感じる「幸せ」の方は誤魔化しが効きませんが、
「あの時は」と思う「幸せ」は、まさに「気の持ち方」次第なのです。
 
よいですか?
ここで大事なのは、「幸せは歩いてこない」は嘘ということ。
「幸せ」は自分で創り出すことができるということです。
 
私は、以前から「幸せ」は噛み締めるものだと思っていました。
ですから、今回の記事にはとても納得感を感じます。
 
私は、一日の終わりに今日の「幸せ度」を考えるタイミングを持っています。
最近の私は、大体毎日「幸せ」ですね。
それは、「幸せ」を噛み締めることができるから。
 
ところで、皆さんは「幸せ」の味を知っていますか?
「なんじゃそりゃ?」と思うかもしれませんが、
私を含めて多くの人々は、「不幸」の味の方は知っているはずです。
なぜなら、「不幸」は無意識に本能的に噛み締める傾向があるから。
 
 過去の苦々しい記憶を何度も頭の中で噛み締めて、苦しんだ経験はありませんか?
 
だから、多くの人は「不幸」の味を知っているはずなのです。
しかし、「幸せ」の味を知る人はそんなに多くない。
動物は本能的に過去の記憶から学習し危険を避けようとします。
だから、過去の「不幸」は重要な情報として、
個の都合など無視して、何度も記憶が頭の中でリプレイされるのです。
だから、もともと遺伝子に支配されている人間は、「不幸」を感じやすい。
「遺伝子」は、常に個に「悲観的であれ」と願っているのです。
 
そこのからくりを知ってしまえば、私たちは「遺伝子」の企みを覆せます。
だったら、意識的に「幸せ」を噛み締めるのです。
上記の実験にあるように彼女や彼氏を持っている人は、
「1ヶ月に何回デートしたか」を考えるようにすればよいでしょう。
異性のパートナーがいない人だって、いくらでも「幸せ」の種はあります。
私の場合は、「予定していた仕事が無事に終わったこと」とか、
「職場の仲間と楽しく笑顔で過ごせた」とか、「素敵なブログが描けた」とか。
噛み締める「幸せ」は、何気ない1日の中にも、たくさん転がっています。
 
そして、「幸せ」を噛み締める癖がついてくると、
「何気ないものから好ましいものを見つける」能力が高まってきます。
 
そうすると、その能力は更に素敵なプレゼントをくれます。
それは、前回の「特別」のお話とも関連するのですが、
「他者の素敵なところ」を見たり見つけたりするスキルがついてくるのです。
人間は、自分が「特別」でありたいため、他者の悪いところを本能的に探そうとします。
「人の不幸は蜜の味」という言葉にもあるように、
「遺伝子」は人間をそういった下らない存在に仕立て上げようとするのです。
しかし、そこの仕組みを理解すれば、
他者の「素敵なところ」に自然と目を向けることができるようになります。
 
そうしたことができれば、
「笑顔」の素敵なコミュニケーションが形成されるようになるのです。
「笑顔」は相手にも伝染します。
気づくと、自分の周りは「笑顔」の素敵な世界になっているはずです。
 
「幸せ」になりたい人は、「幸せ」を噛み締めましょう。
「幸せ」を噛み締められるようになると、
他者の「幸せ」や「素敵なところ」も噛み締められるはずです。
そうして、人の「幸せ」や「素敵なところ」を喜べるようになった時、
あなたに更なる「幸せ」が集まってくることは間違いありません。
 
人の「不幸」は蜜の味?
それでは、人の「幸せ」は何の味?