「努力」と「リスク」と「不確実性」

「エルズバーグのパラドックス」という心理実験をご存知ですか?
数理経済学者エルズバーグ博士が行った確率に関する面白い実験です。
 
この心理実験のあらすじを説明しましょう。
まず、玉が100個入っている「つぼ」を2つイメージしてください。
「つぼA」には、赤の玉と黒の玉が50個ずつ入っています。
一方、「つぼB」にも赤の玉と黒の玉が入っていますが、
それぞれいくつずつ入っているかは不明です。
赤の玉が1個で黒の玉が99個かもしれないし、
逆に黒の玉が1個で赤の玉が99個かもしれません。
もちろん、赤の玉も黒の玉も50個ずつの可能性だってあります。
 
そんな状況で、あなたはあるギャンブルをします。
「つぼ」から引く玉を予想して、見事引き当てたら1万円!
「つぼ」は、2つのうちどちらかを選んでください。
(1)50個ずつ玉が入っていることがわかっている「つぼA」
(2)入っている比率がわからない「つぼB」
 
さて、あなたはどちらの「つぼ」で、このギャンブルをやるでしょう?
シンキングタイム。
 
 ・
 ・
実は、実験結果によると多くの人が当選確率がわかる(1)の「つぼ」を選びます。
あなたも選びましたか?
実際に、「つぼ」を目の前にしないと判断しづらいかもしれませんが。
 
この実験、実は3回に分けて行われているのですが、
説明を簡便にするため、今回は少し省略してポイントのみを紹介しています。
実際の実験の内容は、こちらのサイト「人生と投資」で詳しく参照可能です。
 
さて、「つぼA」のような、確率のわかっている選択に関わる危険を「リスク」と言います。
一方、「つぼB」のような、起こることの確率すらわからない事態を「不確実性」と言います。
 
この「エルズバーグの心理実験」で判明することは、
人は、計算できる「リスク」は受け入れますが、
予測がきかない「不確実性」は嫌う傾向にあるということなのです。
 
ところで、以前のブログで「努力」は「投資」であるというお話をさせていただきました。
「努力」とは自分の大切な「時間」を「投資」して、
将来の「リターン」を期待する行為なのです。
「努力をすれば、必ず結果はついてくる」と思っている人は、
「努力」をして「成果」を既にあげている人です。
「努力」する前の人、ましてや「努力」が苦手な人には、
「努力」とは、自分の快適で大切な「時間(人生)」を「投資」する行為に他ならないのです。
 
投資には、「リスク」や「不確実性」がついて回ります。
当然、「リターン」が高いほど人は「努力」をする傾向にありますが、
もっと大事なのはその「リターン」を得るために発生する「危険」の性質です。
上記で説明したように、「危険」には2種類あります。
すなわち、確率がわかっている「リスク」と、確率すらわからない「不確実性」。
そして、人間は「リスク」よりも「不確実性」を嫌います。
 
ここに「努力」をできるようになる「鍵」が眠っているのです。
「一生懸命勉強したら、よい大学に行けて、よい会社に入れて、
よい配偶者とめぐり合えて、よい家庭を築けて、幸せな人生を過ごせるよ」
景気の良い昔と、いろいろなものが破綻している現在では、
この言葉の聞こえ方も変わって来ます。
つまり、現在の方が「努力」の結果も、
より「リスク」から「不確実性」にシフトしているのです。
ですから、現在は昔より「努力」しづらい環境になっている可能性があります。
 
しかし、「努力」するのは、あくまで「個人」。
この「リスク」と「不確実性」に対する人間の無意識の動きを理解して、
そして逆手にとって、「努力」できる人間になりましょう。
 
「努力」できるようになりたい人は、以下のことを知るべきです。
「不確実性」は、経験を繰り返すことによって「リスク」になっていく。
 
「努力」できない人は、得られる「リターン」を「不確実性」の下に評価する傾向があります。
逆に、「努力」できる人は「リターン」を計算できる実体のある結果として評価可能です。
 
上記のどちらのタイプになるかは、子どもの頃の環境が一つの分かれ目となります。
親から「ダメ出し」されて育った子は、
「努力」の先に「リターン」があるなんて信じる気になりません。
「努力」の先の「リターン」なんて、不確実な幻想なのです。
一方、子どもの頃から小さなことでも褒められて育った子は、
「努力」の先に「リターン」という果実が確実にあることを知っています。
「努力」の資質には「育った環境」も大きく影響を与えているのです。
 
ですが、子どもの頃の環境による差なんて、いくらでも挽回可能です。
「努力」するには、知ればいいのです。
「不確実性」は、経験を繰り返すことで「リスク」になることを。
 
「努力」できるようになりたい人は、
「努力」に対する「不確実性」を「リスク」に変えていくことを意識しましょう。
そこを意識して、小さな「努力」から始めるのです。
いきなり大きな「努力」を始めても、挫折しますよ。
「成せばなる」なんて言葉を信じないでください。
ものごとは、できるだけ科学的に解決するのです。
まずは、「不確実性」を「リスク」に変える仮免教習をやりましょう。
例えば、「明日やることを夜にリストアップして翌日しっかりこなす」という
「努力」の練習はいかがですか?
 
「明日やることのリストアップ」は、私も試行錯誤しながら始めています。
もちろん、予定してもできないことが多々あります。
しかし、それは「失敗」ではありません。
「不確実性」を「リスク」に変えていくという観点からは「成果」です。
「努力」できないと悩んでいるあなたも、
私と一緒に「努力」の練習を始めて、是非「努力」できる人になりませんか?
やはり、「努力」は「幸せ」をつかむ重要な「鍵」の一つです。
 
よろしかったら、一緒に頑張って「幸せ」になりましょう!
 
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